<阪神0-1広島>◇12日◇甲子園

 内容で勝って、結果で負けた。スコアボードに刻まれた5回の「1」が恨めしい。阪神先発安藤優也(30)が不運な1打に泣いた。0-0のスコアで迎えた5回。2死二塁で赤松に対し、初球シュートで胸元をえぐる。スイングされたが、完全に詰まらせた。しかし、フラフラと三塁上空に舞い上がり、緑の芝生にポトリと落ちた。左前適時打を浴びて、先制点を許した。安藤は言う。

 「しょうがないですね。その前に簡単にバントをやらせたり、課題もあった。反省して次に生かしたい」

 この日は速球やスライダーを低めに集めて、安定した投球を見せた。得点圏に走者を背負っても要所を締める。103球を投げ、7回1失点の好投を見せた。打線の援護がなく、今季5敗目を喫したが、サバサバした表情で引き揚げた。

 敗れたが、収穫もある。5月下旬に疲労性腰痛のため戦線を離脱。長く2軍でリハビリし、ようやく5日横浜戦(横浜)で復帰した。5回無失点で7勝目を挙げたが、スタミナ不足を露呈した。その克服が、この日の課題だった。08年開幕投手の力強い投球に、岡田監督も胸をなで下ろした。

 「もう十分よ。この間は5回だったけど、今日は100球まで行ったし、1点やからなあ」。Vロード、さらにクライマックスシリーズでも大黒柱になる右腕だ。安藤も、自覚たっぷりに話す。「7回まで投げられましたから。次も長いイニングを投げられるよう頑張りたい」。頼りになる男が、スパートの起爆剤になる。【酒井俊作】