<日本ハム2-5ロッテ>◇24日◇札幌ドーム

 北京五輪日本代表のエース、日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)が前半戦最後の先発となったロッテ戦で、プロ入り後自己最多となる165球を投げた。球宴、北京五輪と続くため先発予定を1試合減らして臨んだ負けられない試合。今季初の満塁弾を浴びた投球がよほど悔しかったのか、続投を志願して鬼気迫る表情で投げ続けた。一方、ロッテの2年目、大嶺祐太投手(20)は6回を4安打2失点6奪三振に抑え、プロ初勝利を挙げた。

 最後は意地だった。ダルビッシュが8回、西岡を迎えた場面で、左手のグラブで胸をたたき、自らを鼓舞した。鬼気迫る形相で、8回までマウンドを譲らなかった。投げたのは、なんとプロ入り最多となる165球。「続投させてもらったのでどうしてもゼロに抑えたかった」と、8回に与えた5点目を悔やんだ。

 北京五輪前の最後の登板だった。序盤から今季最速タイの153キロをマークするなど直球は走ったが、制球に苦しんだ。4回、四球と安打に里崎のボテボテ三ゴロが内野安打となり無死満塁のピンチを背負った。ここから真骨頂を発揮する。奪三振モードのスイッチが入り、まず満塁男大松をすべて150キロ超の真っすぐで空振りの3球三振。続く今江も153キロで豪快に三振に仕留め、ほえた。

 ピンチを脱したかにみえたが、2死から橋本に投げた内角低め150キロを右翼スタンドに運ばれた。昨年の開幕戦でロッテ・ズレータに浴びて以来、プロ通算3本目の満塁被弾。札幌ドームのロッテ戦の連続無失点も35イニングでストップした。11球続けた真っ向勝負に「打たれるべくして打たれた球。自信を持って投げたので、まったく悔いはない」と話したが、悔しくないわけがない。

 そこから投げ続ける方向にスイッチが入った。6回で116球。7回で137球、それでも続投を志願した。「200球でも250球でも投げられるように練習している」と強気に言った。梨田監督は試合中に2度、ダルビッシュに意思を確認している。「140球くらいが限界と考えていたが、7回に聞いたら(ダルビッシュが)行きたいと言った。故障が怖かったが、エースとして(五輪に)行くのに気持ちで負けていなかった」と評価した。

 ダルビッシュはチームに帯同はするが25日にも登録抹消予定で、戦列復帰は五輪後になる。自身6連勝はならなかったが「球は全然問題ない。こういう日もある」。星野ジャパンのエースは前向きさを失わず、気持ちはまったく折れていなかった。【村上秀明】