<阪神2-0中日>◇26日◇甲子園

 中日が首位阪神に完封負けして対戦成績を3勝12敗1分けとし、球宴前に負け越しが決まった。「静」の落合監督が4番ウッズを外し、守備も変更するなど大きく動いたが、打線は再三のチャンスをつぶし、守っては25日の右翼でなく三塁で先発した森野の失策をきっかけに2失点。かみ合わない内容で、先発中田の7回4安打2失点の好投を見殺しにした。甲子園での阪神戦は昨年9月28日から8連敗。ゲーム差は今季ワーストタイの14に広がった。

 我慢しても勝てず、動いても勝てない。阪神に0封負けし、ロッカー室から出てきた落合監督は思わず笑った。「野球っておもしろいな」。球宴前に阪神戦2年連続の負け越しが決定した。甲子園での連敗は8に伸びた。愉快なはずがない。もがいても結果が出ない現状にそう言うしかなかったのか。

 試合前、落合監督が動いた。今季初めてスタメンからウッズを外した。一塁に中村紀、三塁に森野。前夜阪神との差を「守り負け」と断じた指揮官が思い切った守備重視の布陣を敷いた。だが、皮肉にも勝敗を分けたのはその守備だった。

 0-0で迎えた4回2死、新井の打球は三塁森野の正面へ。だが、森野がこれをはじく失策。先発中田が初めての走者を許した。続く金本に四球で一、二塁とされると関本の打球は中堅小池、左翼和田の真ん中へ。和田から譲られた小池のグラブをかすめて抜けた。この2点タイムリー三塁打が勝負を決めた。

 「ぶつかってでも捕らないといけなかった」。和田は唇をかんだ。「互いにいっぱいのプレー。譲り合うのだけはやめようと思った」。小池が首をかしげた。そして、森野はまっすぐ前を見つめてこう言った。「イレギュラー?

 していません。普通の打球です。初回の三振と言い…。情けない。それしか言いようがない」。守備を固めるはずの森野の失策が決勝点につながる皮肉な結末だった。

 打線も火を噴かなかった。再三得点圏に走者を置きながら、1点も取れなかった。「内野ゴロ1本が打てない。こういう展開になったら負ける。それはこの5年間、解消されていない。意識を変えてくれないとな」。落合監督の言葉が甲子園の通路にむなしく響いた。【鈴木忠平】