オリックス清原和博内野手(40)が2日、今季限りでの現役引退を決意し、最後の戦いに臨むことを明かした。3日の後半開幕ソフトバンク戦からの約2年ぶり1軍復帰へ向け、京セラドーム大阪で会見。軟骨移植手術を受けた左ひざが限界に近く「もう来年グラウンドには立てないと思います」と涙を浮かべて語った。今後の出場試合は8年連続Bクラスに沈むチームの優勝のために「玉砕」覚悟で戦い抜く覚悟。PL学園、西武、巨人で一時代を築いた伝説の男が、壮絶な現役最終章を迎える。

 清原の目から涙があふれ出た。「この状態では、もう来年はグラウンドに立てないと思います。明日からの1打席、1球が野球人生の最後と思ってバットを振りたいと思います」。2年ぶり1軍昇格へ。明かしたのは引退を決意し、最後まで戦う悲壮な覚悟だった。

 軟骨移植手術を受けた左ひざは、限界ぎりぎりだ。1キロの特製サポーターを装着しなければプレーできない。日米を問わず、この手術から再起したスポーツ選手がいない中、2軍戦で2本塁打するなど“奇跡”を起こした。だが日常生活でも激しい痛みに襲われ「いつ壊れてもおかしくない状況」だ。

 家族には1週間前に伝えた。リハビリの休日を利用して岸和田市の実家に帰り、墓参をした。「面と向かうとあれなんで…。母親をおんぶしながら、伝えました。泣いてました。両親に伝えた時が1番辛かったです」。悲劇のドラフトでは一緒に泣いてくれ、プロ生活の支えとなってくれた母弘子さん(67)。顔を見て決意を報告することはできなかった。

 だが涙にくれる母に、一つだけ約束した。このまま簡単に辞めるのではない。もう1度グラウンドに立って、残りシーズンは死力を尽くして戦う。Aクラスを目指すチームに貢献する。プロとしての最後の生き様を見ていて欲しいと、清原は言った。

 「チームも今、すごくいい位置(2位まで3・5差の4位)にいます。僕は玉砕の精神で、魂を込めてチームのために戦います。心技体の最後に残った心、魂でバットを振ります。明日潰れるか、どこまでひざが持つかは分からない。でもひざの持つ限り最後まで戦い、少しでも貢献したい」

 代打での復帰が予定される3日の打席で、ひざは壊れてしまうかも知れない。それでも勝利を追求したフルスイングと全力疾走の代償なら、悔いはない。死球に当たってでも出塁する覚悟。決して引退興行ではない。「限界なら今、ユニホームは着ていない」。残された最後の力を魂のスイングに変え、グラウンドで散る覚悟だ。

 「今まで経験したことのない、23年間で一番壮絶な戦いが始まります。1球1球魂を込めてスイングしますんで、ファンの方にはそれを見ていただければ」

 3日と4日はソフトバンクが南海の復刻ユニホームを着用して戦う。前売りも好調で、ドームの今季最多動員は確実だ。奇しくも清原が23年前にプロ初出場、初安打、初本塁打した南海戦から、現役最終章が始まる。【松井清員】