<巨人7-0阪神>◇12日◇東京ドーム

 完敗した。電光掲示板に「0」だけが並んだ。打線がつながらず、重苦しい雰囲気が充満しても、一筋の光があった。この日から林威助外野手(29)が1軍復帰。いきなり5番に座り、結果を残すところに頼もしさがある。6回無死一塁。難敵グライシンガーの投球術にも器用に対応した。カウント0-1から、2球続けて空振り。しかし追い込まれて、最後は外角速球を鮮やかに左前へライナーではじき返した。

 林

 (打った球も)チェンジアップを待っていました。その前の2球もチェンジアップを待っていて真っすぐに空振り…。最後に修正できて良かったです。

 4回に四球を選ぶなど、この日は3打数1安打。24試合ぶりの復帰戦は上々のスタートだ。主砲新井が北京五輪に出場し、打線の破壊力も低下。留守を預かる「5番林」への期待は大きい。岡田監督も言う。

 岡田監督

 相手の右左(投手)もあるけど、それでやっていかな仕方ないからな。(残っている者で)やるしかないからな。

 7月8日の巨人戦(甲子園)で帰塁した際に、左ひざを負傷。「左ひざ内側側副靱帯(じんたい)損傷」と診断された。北京五輪の台湾代表も辞退して、炎天下の鳴尾浜でリハビリに専念。ひざの状態が万全でなくても、上半身は動く。いち早くバットを握り、室内練習場にこもった。「やらないより、やっておいた方がいい。上半身だけでもタイミングを取れるから」。最善のメニューをこなし、1軍復帰につなげてきた。

 首位を独走してきたチームはペースダウン。今季最長の5連敗を喫した。起爆剤としての役割がある。林も自覚たっぷりに話す。

 林

 (試合に)出ている限り、チームのため、勝利に貢献したい。負けたら何もない。また明日です。

 『威助』の名前には「周りの人を助ける」という意味も込められている。林の猛打が、必ずや苦境のチームを救う。【酒井俊作】