<巨人6-2広島>◇4日◇松山
巨人が首位阪神を射程圏内にとらえた。小笠原道大内野手(34)が2-2の同点で迎えた広島戦の8回、決勝の28号ソロを放った。前日には球団5人目のサイクル安打をマークしており、連日のヒーローとなった。
息詰まる展開を打ち破ったのは、またしてもこの男だった。同点で迎えた8回、小笠原が大竹の148キロの速球をたたいた。右翼席に向けてグングン伸びる打球。その時点でスタジアムは総立ちになった。最上段に落ちた打球が、そのまま跳ねて場外へ消えていくと、歓声はさらに大きくなった。
05年に実数計測となってから坊っちゃんスタジアムとしては最多の2万4095人が見守る中、ヒーローは悠々とダイヤモンドを回った。この1発が24球場目での本塁打。「なかなか来られないところで打てたのがうれしい」。この試合しか見られないファンもたくさんいることを知っているからこそ、お立ち台では、そんな言葉が口をついた。
前日はサイクル安打を達成し、チームをけん引した。日本ハム時代のチームメートやお世話になった人たちから祝福の電話が相次いだ。「どの人も大切な人たちで、誰か1人からの言葉が印象に残ったとかいうのはないけど、励みになりました。でも、昨日のことは昨日のこと。今日はそう切り替えて臨めたから、うまくいったんじゃないかな」。個人記録の喜びは封印し、この日もチームの勝利を優先した。それが勝負どころでの一打につながった。
原監督は自分の経験と重ねながら、小笠原のすごさを表現した。「高校、大学、プロ。(サイクルまで)あと1本の『リーチ』はかかっても、いつも出なかったなぁ、あと1本が。無意識のうちに意識してしまうものだし。だからガッツの方が僕より、数段上なんですよ。きっちり打ったでしょ」と持ち上げた。
6月まではコンディショニングの維持に苦労した。「生涯打率3割2分打ってる人ですから、コンディションさえ整えれば」と指揮官も考え「任せてくれ」と強制的に休養させたこともあった。だが、このところの活躍に「そんな時期は完全に越えてくれましたね」と目を細めた。これで阪神との差は4・5ゲーム。またじわりと詰めた。「2ぐらいになったらコメントを出します」と原監督。無意識のうちに頼もしい男の背番号を口にしていた。【竹内智信】



