<ヤクルト0-8巨人>◇5日◇神宮
巨人が3連勝で自力Vを復活させ、ついに首位阪神に3・5ゲーム差まで迫った。腰痛を押してスタメン出場した高橋由伸外野手(33)が先月19日以来の14号2ランで打線に勢いをつけ、ヤクルトに8-0で完勝した。セス・グライシンガー投手(33)が8回5安打に抑えハーラー単独トップの14勝目を挙げた。巨人が首位とのゲーム差で4を切るのは、ヤクルトに開幕3連敗を喫した直後の3月31日以来になる。
会心の当たりだった。高橋由は一呼吸おいてから、ゆっくりと走りだせば良かった。2点リードの5回2死一塁。初球だった。ど真ん中に抜けてきたフォークを逃さずに仕留めた。試合の行方を一気に引き寄せる1発。「バットを振ったところにボールが来ただけ。でも、久しぶりに芯でとらえた。あの展開で打てたのが良かったね」と冗談まじりに喜んだ。
この1発が打線に火をつけた。6回には一気に4点を奪い、勝負を決めた。そして、阪神のマジックをまたしても消した。4度目の消滅は2リーグ制後初めてのこと。7月9日には最大13ゲーム差あったのを3・5差とし、11・5差をひっくり返した96年の「メークドラマ」を超える大逆転劇も絵空事ではなくなった。「ここからだと思う。巨人は今、調子が良くて、阪神は悪いから。ここからが大変だと思う」。正念場に向けての覚悟はできている。
この日も本塁打の後はベンチに下がったように、腰の状態はあまり良くない。「出られなくてもベンチにいてくれるだけで大きい」という指揮官の期待に応えようと戦列にしがみつく。相手が左腕の時にはスタメンを外れるのが常になってしまったが、そんな時でも、ベンチの裏で代打に備えてバットを振ることを欠かさない。「厳しい状況をいい経験だって片付けたくないんでね。それは将来、指導者になった時に考えればいいこと。ちゃんとプレーできた方が絶対にいい経験になる。僕はそう思う」。腰のためにいいと聞き、股(こ)関節の強化が日課となった。すべてはいい思いをしたいがためだ。
原監督は「由伸のは非常に効果的な1発でした。今は1人ひとりがいいものを出してくれている。チーム力に幅がある」と手応えを口にした。ケガを抱えていたり、力を出し切れなかったりする選手もいる。それでも「チームが勝てば救われる人間がいる。それが僕だったこともある」と高橋由は言う。その気持ちが明日につながり、追撃への原動力を生む。【竹内智信】



