<中日4-7阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 中日が攻守に精彩を欠いて首位阪神に完敗。広島が勝ったため、今季初めて3位タイとなり、クライマックスシリーズ出場に黄色ランプが灯った。先発小笠原が5回11安打7失点と痛打されれば、攻撃面でもチャンスで走塁ミスが2回、併殺も4回記録するなど、目を覆うお粗末な試合内容。昨年の日本一チームが、待ったなしの窮地に陥った。

 敗戦の後、落合監督はあきれたような笑みを浮かべて吐き捨てた。「ただ単に自滅じゃないか…。ちょっと考えられないことが多すぎる。野球になってない」。今季最多4併殺で阪神に15敗目。今季初めて広島に同率で並ばれた。ただ、それも当然の帰結としか思えないようなミス、ミス、ミスのオンパレードだった。

 (1)けん制死

 2点を追う3回無死一、二塁。送りバントの構えだった小笠原がストライクを見逃し、二塁走者デラロサが飛び出してタッチアウト。追撃ムードに水を差した。

 (2)失策

 1-2で迎えた4回、阪神野口の右中間への打球を中堅藤井と右翼李が互いに譲らず衝突。打球は2人を間を抜けて野口は三塁へ(記録は李の失策)。この後、小笠原はヒットと本塁打で3失点。1-5と突き放された。

 (3)走塁ミス

 5回無死二塁からデラロサが中前打。二塁走者李に対して笘篠三塁ベースコーチは腕をまわしていたが、ぎりぎりでストップをかけた。この際に同コーチが李の体を触ったと判定されてアウト。

 3日前と同じ過ちを繰り返したデラロサは猛省した。「打球が転がってから三塁に行かないといけなかった。完全に僕のミスだ」。決して気が抜けているわけではない。すべて懸命なプレーの結果なのだが、落合監督はこう断じた。

 「みんな一生懸命やっているよ。でもプロは一生懸命やるのが仕事じゃない。結果を出すのが仕事なんだ。ちょっとプロとして考えられないプレー。やるべきことをやっていない」。

 ライバル阪神にはすでに負け越しが決まっているが、本拠地ですら3勝6敗1分。屈辱のまま終われるはずがない。「うちが阪神の栄養剤になっちゃいかんな。(今の中日は)何年か前の阪神を見ているようだ。まあ、選手は明日も出られると思っているかわからないけど、多少メンバーは変わるかもな」。追い詰められた指揮官はスタメン変更を示唆して会見場を去っていった。【鈴木忠平】