<広島4-4巨人>◇23日◇広島
巨人も阪神も延長12回引き分け。互いに譲らず、同率首位のままだ。巨人は広島に0-2と2点リードされた8回表、高橋由伸外野手(33)が、代打で逆転3ランを放った。高橋由は18日に長女が生まれたばかりだった。粘る広島に追いつかれ、76年以来の12連勝はいったんお預けとなったが、チームの好調は続いている。阪神は横浜に1-1。JFKも復活し、クライマックスシリーズ(CS)進出が決定した。
初球からいった。高橋由の真骨頂だった。8回1死二、三塁。代打で打席に立つと、迷いなく振り抜いた。少し詰まりながらも打球は右中間スタンドへ。一時は試合をひっくり返す一撃に、拳を握りしめた。「昨日は1人だけ4三振でとんちんかんなことをしてたから。今日は打てて良かったね」と白い歯をのぞかせた。
うれしいことがあった。17日の横浜戦の後、麻衣夫人(32)から携帯電話に連絡が入った。「陣痛が始まった」という知らせだった。慌てて病院に駆けつけた。そこから24時間、自宅と病院を往復し、時には腰をさすりながら妻を気遣った。そして18日の午後になって、分娩(ぶんべん)室の外でわが子の産声を聞いた。2600グラムの元気な女の子だった。
だが、阪神との天王山を前に、戦う姿勢になっているナインを前に浮かれるわけにはいかなかった。「ああいう状況だったから」と原監督ら数人にだけ報告。首位に並んで乗り込んだ広島でのミーティングで、ようやくチームメートに報告した。「腰痛に苦しめられるシーズンだけど、予定より2週間早く、優勝争いの佳境で生まれてきた新しい命に背中を押される思いがするよ。頑張らないとね」と身を引き締めた。
試合は追いつかれ、引き分けに終わったが「負けなかったのは大きい。ずっと勝ち続けるのは難しいから」と前向きにとらえた。指揮官も「由伸のは値千金の代打逆転3ランだった。みんな強くなっている。ナイスゲームだ」と手をたたいた。
打席では迷いなく初球を振り抜いた高橋由も、わが子にどんな名前をつけるかは悩みまくっている。「2週間も早く生まれてきたから、全然準備してなかったよ。しっかり考えてつけてあげたいしね」。父親として最初のうれしい悩みだ。ここからの11試合。守るべき者が増えた高橋由が強さを発揮してくれれば、優勝を目指すチームにとってこんなに心強いことはない。【竹内智信】



