<広島5-0ヤクルト>◇27日◇広島

 広島は最高の「前夜祭」になった。28日が最後のリーグ戦開催となる広島市民球場。3万人近い満員の観衆が見つめる中、主役の先発ルイスが9回、最後の打者福地を空振り三振に打ち取った。

 お立ち台でも視線を独占したルイスはこう叫んだ。「こういう試合を続けられればプレーオフだけでなく、優勝も見えてくる」。連勝で貯金1。勝った中日と3位で並走を続けた。ルイスは2度目の完封。年間15勝目を挙げ、広島の歴代外国人最多に並んだ。

 場内は異様なムード。ヤクルトファンは左翼席上段のほんの一角だけ。スタンド全部が真っ赤に染まった。この2日間は早々に全席完売。28日で主催試合の年間動員数が約139万人になる。初の日本一に輝いた79年に次ぐ歴代2位だ。「これだけの観衆の前で最高の投球ができて幸せ」とルイス。打線も効果的に得点し、ヤクルトをまるで寄せ付けなかった。周囲の盛り上がりに押され、広島の勢いも増してきた。

 誰も28日が「最後」とは思っていない。3位に入り、日本シリーズまで進めば再び本拠地に戻れる。28日のセレモニーのテーマは「必ず帰ってくる」-。

 ブラウン監督は「先日まで、一番強い状態の巨人と戦っていた。1勝2敗1分けだったけどクライマックスシリーズに出ればまた巨人と対戦する。いい準備になったと思っているよ」。11年ぶりのAクラスはもはや目標ではなく、ノルマのような口ぶりだ。【柏原誠】