フリーエージェント(FA)権を行使して来季の米メジャーに挑戦する巨人上原浩治投手(33)が14日、権利行使に必要な書類を東京・大手町の巨人球団本部に届けた。巨人は同日、コミッショナー事務局への申請を済ませた。19日にはコミッショナーからFA宣言選手として公示され、20日からはメジャー球団との交渉が解禁となる。上原と代理人契約を結んだSFX社が交渉にあたる。8球団以上が上原獲得に乗り出すことになりそうだ。

 国際大会でも実績十分で、プロ入り前からメジャー志向が強い上原浩治投手(33)が、正式にFA選手として“フリー”になった。権利行使に必要な書類を球団に送り、書面を通じて「大学の時からの夢であり、目標だった。自分自身ずっと口にしてきた大リーグ挑戦ですが、その入り口にやっと立てたという気持ちも強いですね」とコメント。18日がFA権行使通知の最終日だが、4日前の決断だった。

 アメリカの経済不況に加え、今年の「メジャー市場」は、例年より先発投手のFA権利取得者が多い。だが、上原の獲得を目指すメジャー球団は、最終的に10球団ぐらいになる見込みだ。すでにオリオールズ、ジャイアンツは上原に興味を示しており、ヤンキース、メッツ、エンゼルス、レンジャーズ、ツインズ、インディアンスが来週末にも名乗りを上げることになりそうだ。

 先発投手のFA選手が多いとはいえ、上原の実績は文句なし。メジャー移籍した日本人投手の多くは、硬くて傾斜のきついメジャーのマウンドや、縫い目が高く、滑りやすいメジャー使用球で苦しむが、WBCなどの国際試合や日米野球で活躍したように適性を証明している。プレッシャーが高い巨人でも10年間で112勝をマーク。その間、62敗しかしておらず、精神的なタフさも実証済みだ。来年は34歳になり、下半身のケガに不安はあるが、今季も尻上がりに復調し、健在ぶりをアピールしている。

 希望する球団について「数球団の希望はありますが、自分に興味を持っている球団も話を聞いてみたい。まだ特定の球団からの話もありませんし、スタート地点に立った、ということです」。今後の交渉は代理人契約したSFX社に任せるが「所属球団もなくなり、大きな意味で1人の上原になるわけですから、さまざまな面のサポートを受け、大リーグ挑戦や今後の人生の支えとなってほしいと思っています。代理人を17名も抱える大手で、アメリカの情報量の多さや実績もあるので選択しました。今後は大リーグの交渉に期待しています」とコメントした。来月上旬にはウインターミーティングが行われるが、各球団の中で「ウエハラ」の名前が暴れ回ることになりそうだ。