中日中村紀洋内野手(35)のFA宣言を受け、初のAクラス入りを目指す楽天の野村克也監督(73)が獲得に前向きな姿勢を示した。

 楽天がノリ取りに名乗りを上げる。FA宣言した中日中村紀について、野村監督は「フェルナンデスよりはいいんじゃないの」と獲得に意欲を見せた。今季、チームはリーグトップの打率を誇りながら、同5位の94本塁打と長打力不足に泣いた。シーズン後半から三塁手を務めたフェルナンデスは、3割99打点をマークしたものの、雑な守備で不安を抱えていた。一方、中村は24本塁打に加えゴールデングラブ賞も獲得。攻守の要となりうるベテランを、球団初のFA獲得選手としてターゲットに定めた。

 突然のFA宣言は、チームにとって千載一遇のチャンスだ。年俸1億5000万円(金額は推定)のフェルナンデスとは、来季の年俸で交渉が難航中。野村監督も「法外な金額を言ってるらしい。代表に『いらねえ』と言っておいた」と再契約に否定的な意向を明かしている。その点、中村は今季5000万円(同)。15日、米田球団代表は「公示もされていないので、今の時点では何も言えません」と話した。それでも、これまで「今季はすべてのチャンネルを使って補強をする」とも明言しており、20日の交渉解禁後、獲得に乗り出すのは確定的だ。

 来季は球団の節目となる創立5年目。野村監督4年目の集大成でもあり、最低でもクライマックスシリーズ進出が求められる。近鉄、メジャー、中日と渡り歩いた右の大砲が加入すれば、悲願のAクラス入りへ明るい光となる。【小松正明】