速攻&コテコテ交渉で三浦を落とす!

 阪神は19日、FA宣言選手の公示を受けて、三浦大輔投手(34)獲得を正式に表明した。20日に沼沢正二球団本部長(50)らが三浦のいる横浜に駆けつけ、最長5年で11億円の条件を提示する。交渉後は、昨年新井を口説き落とした「宴会」に持ち込んで三浦との距離を詰める作戦も練っている。また、三浦獲りの正否がはっきりするまで川上憲伸投手へのアタックは凍結することを決めた。

 阪神が、三浦と「いの一番交渉」を行う。FA宣言選手の公示を受け、三浦獲得を目指すことを正式に表明した。交渉解禁日の20日、アポイントがとれればその日のうちに横浜市内で初交渉に臨む。スピードこそ誠意の表れだ。これまで口を閉ざしていた南信男球団社長(53)が、三浦アタックを宣言した。「全力で獲得に向かいます。誠意を持って心を動かしていきたい。実績は申し分なく、関西出身ということでいろいろな意味で縁を感じる」。20日には星野SDを交えたオーナー報告会から納会という球団行事が控えている。社長や監督が動けないが、解禁即交渉に向け、沼沢球団本部長と黒田正宏編成部長はすぐに動ける態勢でスタンバイ。最長で5年、総額11億円の好条件を手みやげに、三浦と連絡がとれ次第、横浜に飛ぶ構えだ。

 トラの戦略は速攻アプローチだけではない。沼沢球団本部長は翌21日のプロ野球コンベンションに出席するため関東地方に滞在する。時間的な制約がないことから、三浦と交渉後にもひざを突き合わせて理解を深めたい考えだ。

 「殺し文句はまだ考えていない。でも時間的には融通が利く。相手の都合があることだが、夜に宴会でも開けるような交渉になればいいのだけどね」

 昨年11月、広島からFA宣言した新井との第1回交渉後に、会場のホテル内にある割烹居酒屋で夕食をともにした。そして、後のFA移籍につながる好印象を、相手に植え付けた。コテコテ関西流とも言える宴会作戦を、横浜に乗り込む今回も展開する可能性がある。

 三浦の好物は中華料理、中でもフカヒレに目がないという。交渉会場は当日に球団が抑えるが、横浜市内のホテルが有力。交渉を和やかに進めてそのまま横浜中華街に三浦を誘い込めるようなら、残留を求める横浜との一騎打ちでアドバンテージを奪える。

 「結論は急がない。彼にとって一大決心になるだろう。粘り強く待ちます」と南球団社長は長期戦も辞さない。一方で、W獲得も検討された川上憲伸に対しては、三浦の動向がはっきりするまで凍結する方針を固めた。狙いを三浦に絞り、FA補強を進める。