来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に選出確実な日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が、強力サポートを受けることになった。球団が、韓国SKでコーチ経験を持つ小林繁2軍投手コーチ(56)にライバル韓国の情報提供を求めることを検討していることが23日、分かった。韓国は第1回大会で日本が1勝2敗と負け越し、8月の北京五輪では金メダルを獲得した宿敵。第1ラウンドで登板、対戦する可能性があるだけに、心強い援軍になる。

 サムライジャパンが誇る3本柱の1人に、韓国対策の専門スコアラーが誕生した。ダルビッシュが球団の橋渡しで、WBCへ向けた特別ミーティングを行える可能性が出てきた。講師を務めるのは、来季から就任が決まった小林2軍投手コーチだ。07年にSKで2軍投手コーチを務め、韓国野球、選手の情報に精通しており、白羽の矢を立てた。

 格好の直前講習になりそうだ。来年2月1日スタートの春季キャンプでの実施を計画。1、2軍は沖縄の名護市、国頭村とキャンプ地は離れてはいるが、車で約30分ほどの距離。宿舎も別で通常ならば対面することはないが、球団幹部は「ダルビッシュがもし話を聞きたいというのであれば、こちらからそういう場をつくってもいいですから」と検討している。

 アジア勢で最大のライバルだけに、貴重な機会になる。日本は韓国には06年の第1回大会で1、2次リーグで連敗。準決勝で破り、決勝でキューバに勝って初代王座に就いたが、後味の悪さがあった。ダルビッシュは登板こそなかったが、「星野ジャパン」の一員で臨んだ北京五輪で2戦2敗、世界の頂点に立った韓国に圧倒された。3月5日から第1ラウンド(東京ドーム)で対戦、自身初対戦が実現する可能性はあるだけに、事前準備として情報収集は不可欠になる。

 SKだけではなく他球団選手にも詳しい小林コーチは、投手目線からの攻略法の助言をもらえる心強い存在。ダルビッシュが宮崎での代表合宿入り後の来年2月18、19日には韓国サムスン、SKとの練習試合を行う予定で、同コーチがその場でWBC直前の韓国代表の情報を収集することも可能だ。ダルビッシュが登板しなくても、トリプルエースに指名された松坂、岩隈らチームメートへ伝えられ、日本にとってもプラスになる。北京の雪辱を誓うキーマン右腕に、悲願成就のための万策ができた。【高山通史】

 [2008年12月24日11時29分

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