<練習試合:西武9-0広島>◇20日◇南郷

 西武木村文和投手(20)が開幕ローテーション入りを猛アピールした。広島戦に先発。3回を1安打無失点に抑え、最速147キロをマークした。昨年まで渡辺監督そっくりだったフォームの改造に着手。左手の使い方を変えることで、課題の制球が安定し、この日も無四球だった。日本一チームで6番目の先発の座を狙う3年目右腕が“脱・ナベQ”で幸先のいいスタートを切った。

 先頭打者の広島赤松に、カウント0-3。しかも強風が吹き荒れる悪状況。昨年までなら四球から崩れてもおかしくない場面で、マウンドの木村は冷静だった。「『今年のおれは違う』と言い聞かせて、ストライクをとろうとしないで腕を振ることだけを考えてました」。2球で追い込み、二ゴロに打ち取って波に乗った。3イニングで許した安打はわずか1本。悪い癖は最後まで顔を出さなかった。

 課題の制球さえ安定すれば、ボールの力には定評がある。「低めに集めてゴロを打たせようと思いました」と冷静だった。無理に三振を狙わず、最速147キロをマークした直球主体に組み立てた。ルーキー岩本を遊ゴロ併殺に仕留めるなど、狙い通り打者9人に内野ゴロ4つ。変化球が入らず苦しんだものの、最後の打者の安部はフォークで空振り三振。ベンチで渡辺監督から「ナイスピッチ、キム!」と声をかけられ、笑顔がはじけた。

 尊敬する渡辺監督の現役時代と同じ「背番号41」を背負う。昨年は意識して、個性的なフォームもまねたが、結果が出なかった。一番の特徴だった、投球前に左手を前に突き出す動作をやめた。「斜め前に出すようにしたらバランスが良くなりました」と改善点を口にした。14日の紅白戦でも3回無四球と、自信を深めた。渡辺監督は「悪いカウントからでもしっかりストライクをとれる。成長しているね」と評価し、3年目の飛躍に期待を膨らませる。

 狙うは開幕ローテ入りだ。日本一の先発投手陣は層が厚い。WBC日本代表候補の涌井と岸に、西口、石井一、帆足の5人まで確定。残りの1枠を新外国人ワズディンらと争う。次戦はWBC壮行試合の3月2日韓国戦が濃厚。「変化球でしっかりカウントをとって、今日以上の投球をしたい」という伸び盛りの20歳が、日本のライバルを相手に真っ向勝負を挑む。【柴田猛夫】

 [2009年2月21日9時33分

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