<日本ハム8-7ロッテ>◇8日◇東京ドーム
ベテランが元気です!
日本ハム稲葉篤紀外野手(36)が、自身初の1試合3連発でチームを連勝に導いた。ロッテ戦で3回の第2打席に今季1号となる2ランを右翼席に放つと、5回の第3打席も右翼席に一時勝ち越しのソロ。7-7ともつれた7回の第4打席には、勝負を決めるアーチを逆方向のレフトスタンドに放り込んだ。3打数3安打4打点の大爆発で乱打戦にケリをつけた。小谷野も初の1試合2発。1試合5発のアーチ攻勢で開幕3連敗の悪夢をぬぐい去った。
ワンマンショーの3連弾が、ゴールが見えない空中戦をフィナーレへと導いた。稲葉が主役の座を死守した。2点差を同点とされた直後の7回1死。カウント1-1からシコースキーの146キロを左中間へ力強くさばいた。そこまで2打席連発。異様な期待の中で未体験の自身3打席連発、決勝アーチをかけた。
稲葉
2打席はあっても、3打席目はもうないだろうと思っていました。神懸かりましたね。ホント、タマタマ。いい記念になりましたけど、チームが勝って良かった。
お立ち台の第一声の「あ、ありがとうございます…」が、裏声になってしまうほどの快感に酔いしれた。
付加価値は3本とも十分だった。1本目。3回1死一塁から大嶺のチェンジアップを、右翼席最前列へ突き刺した。3点リードを2点差とされた直後。今季1号2ランは傾きかけた流れを止める、くさびになった。5回は同点とされたその裏に、一時は勝ち越しのソロ。「投手が苦しい時に何とかしたいな、と思っていた」。小谷野の2発を含め、チーム全8得点が本塁打という乱戦の要所で、一撃が効いた。
ドラマの出発点になった地へ帰り、再びドラマを紡いだ。3月5日にWBC第1ラウンドが開幕したのが、ここ東京ドームだった。隣接する宿舎で、緊張感を強いられる生活。余計な疲労を回避するため、自室にこもりがちな日々だった。日ごろはやらないテレビゲームに没頭。高校野球ゲームのソフトを購入し、自らが監督としてチーム編成し、試合をする内容。WBCではチーム最年長、日本ハムでは今季から新主将。少しでも今後へとつながるものをという意味も込め、コントローラーを握った。
「やってみたら意外に面白くてさ。1回、優勝したんだよね」。ヤクルト時代はスター選手の陰に隠れた脇役だったが、05年のFA移籍後から日本ハムの中心選手。今季はさらに要職についたため、激闘を控えるつかの間のオフも野球に費やしてきた。WBCで渡米後も「(中田)翔は変わってくれると思う」と開幕2軍スタートの後輩を気遣い、チームを気に掛けてきた。昨季まで投高打低のチームカラーだったが今季、新戦力の加入で変化した。「昨季まで投手に助けられたから」。新打線を引っ張る自覚をゲームの仮想世界だけではなく、現実のグラウンドで体現した。
この日は尊敬する金本も遠く甲子園で3打席連発。試合後に一報を聞き「明日(スポーツ紙の)1面かな、と思ったけれどね」と苦笑いで、自ら主役を譲った。今年8月で37歳のともに“アラフォー世代”が競演した。「金本さんは、あの年齢で毎年やっているってすごい。何か縁を感じるんですよね」。これで開幕3連敗から、連勝。稲葉も朽ちることない匠(たくみ)の技で、東京、大阪での大アーチショーの夜を彩る主役の1人だった。【高山通史】
[2009年4月9日10時50分
紙面から]ソーシャルブックマーク



