広島市民球場で球審にボールを運んで大人気だったボールボーイ犬のミッキー(オス・ゴールデンレトリバー)が8日午後7時15分、老衰で死んでいたことが、14日分かった。11歳だった。2日後に迫っていた新装マツダスタジアム開幕戦の10日が12歳の誕生日で、人間でいえば60歳代だった。

 訓練士で飼い主の北広島町の上野智美さん(32)によると、急に食が細くなり、3月30日に点滴治療などで同町の動物病院に入院した。34キロあった体重も25キロにまで落ちた。4月8日、主治医がミッキーに「おうちに帰りたいか」とたずねると首を持ち上げたため家族に連絡。上野さんらが駆けつけると、3度首を持ち上げ元気そうにしてみせた。自宅に到着し、ミッキーを抱えたときにはすでに息がなかったという。

 ミッキーは6歳のころに前の飼い主と別れ、上野さんが引き取った。人なつっこく、あまりほえることもないことから日本初の“ボール犬”に白羽の矢が立った。

 デビューは05年3月12日のソフトバンクとのオープン戦。3回裏終了後、球審の「来い!」の合図にボール3球が入った竹かごをくわえホームベースへ直行した。同球審が2球を手にした時点で、焦って戻ってしまったのはご愛敬(あいきょう)で、2度目以降はしっかり仕事を果たした。背番号「111(ワンワンワン)」で、07年9月に高齢で引退した。主にミッキーの世話をしていた上野さんの母、池田喜和子さん(57)は「大往生です。元気になったら新球場周辺を散歩させたかったけどね」としんみりと話していた。

 [2009年4月15日8時16分

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