<広島1-12阪神>◇25日◇マツダスタジアム

 過労で登録抹消中のメンチに代わる右翼のライバル、葛城育郎外野手(31)と桜井広大外野手(25)が2人で5打点と爆発した。鬼ならぬメンチのいぬ間に-。葛城は6打数4安打3打点、桜井も1安打ながら2打点1四球と存在感を発揮した。

 チーム16安打12点のうち、本塁打は1本だけ。その1本が初回、新井の2点打の後に続いた葛城だった。長谷川の初球フォークが高めに抜けた所を見逃さず、右翼スタンドに2ラン。「新井さんが前で打ってくれたんで、楽に打席に入れた。新井さんのおかげです」。この一打で波に乗った。

 2打席目が右二塁打、3打席目は中前打。三塁打は出ずサイクル達成はならなかったが、意気揚々と引き揚げてきた葛城の第一声は「ミラクル!

 ミラクル4安打!」。普段から陽気なキャラクターだが、いつも以上に弾けていた。

 それもそのはず。開幕以来、笑顔の裏に牙を隠し研いでいた。6番右翼のメンチが不振でも、2軍降格しても、代役1番手は桜井。葛城は、この日が今季3試合目のスタメンだった。「しっかり(代打でも練習でも)まっすぐを捕らえられているし、調子は良かった。ずっと維持できていた」。準備を怠らずチャンスを待っていた。

 真弓監督を「サイクルまで3回チャンスあったのに」と苦笑させるほど、十分すぎるアピールに成功した。「今がチャンス。『ライトいけるぞ』という気持ちでやってます。でも桜井、メンチもいますんで」と、気持ちも引き締め直した。

 もちろんライバル桜井にも、慢心はない。メンチ抹消後、3度目の先発。この日は赤星に代わって7番中堅で右翼葛城と同時出場で6番打者の勢いに乗った。4回2死からは、勝利をほぼ確実にする2点タイムリー三塁打を右翼線に放った。「いい感じで打てた。でもその後が(3打席凡退)…。まだまだです」。もっと打ちたい-。存分にチャンスを与えられた男たちの欲求はつきない。

 [2009年4月26日11時39分

 紙面から]ソーシャルブックマーク