<横浜9-8巨人>◇13日◇横浜

 恥ずかしそうに上がったヒーローインタビュー。横浜山口俊投手(21)の第一声は「すいません」だった。2点リードの9回、失策絡みとはいえ2失点。2四球を与えた内容は、ストッパーとしての役割を果たせたとはいえなかった。お立ち台の隣では、決勝の押し出し死球になった村田が「クローザーで出てきて2点取られ、(9回の)先頭打者でヒット。お立ち台にいる意味が分かりませんね」と笑顔で皮肉られてしまった。

 まさかの打席で、まさかのヒット。最後はサヨナラのホームを踏んだ。自らが9回表に同点に追いつかれなかったら、回ってこなかった打席だった。「サヨナラのホーム?

 初めてなんで、プロ野球人生で1度ぐらいはいいかなという感じです。代打を出さずに打席にいかせてもらって、バッティングに期待されてるのかなと思いました」。ホームを踏んだ瞬間は、ピッチングのことばかりが頭から離れず「サヨナラだって気がつきませんでした。ホームにかえって、もう1度投げるつもりでした」とまじめに話した。

 それでも、悔しさはしっかりと残っている。7日巨人戦で抑えでマウンドに上がったが3被弾。1/3で4失点し、ルーキー藤江のプロ入り初勝利を消してしまった。雪辱を期してのマウンドで再び2失点したことに「次はしっかり投げるんで、よろしくお願いします。巨人には2回やられている。明日も投げることになれば頑張ります」とファンの前で頭を下げた。お立ち台で笑いを誘った右腕は、本職のマウンドでファンを喜ばすことを誓っていた。【小島信行】

 [2009年5月14日8時50分

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