<中日2-1横浜>◇16日◇ナゴヤドーム

 延長10回裏無死二、三塁で外野フライも許されない場面。だが、横浜の守護神山口俊投手(21)は中日ブランコに対し、オール高めの直球で勝負と決めていた。「高めは禁物」といわれることが多いが、あえて威力のある直球で内野のポップフライか三振を狙う高め勝負だった。

 1、2球とも内角高めの直球で空振りを2つ奪う。直球に強い外国人打者の打ち気を誘う策は、それまで成功した。さらにファウル、ボールとすべて内角高めに投げ込み、ブランコはバットに当てるのも窮屈そうだった。横浜杉本投手コーチは「山口の直球と変化球なら三振に取れるチャンスが大きいと思った」という。ブランコを打ち取った後は和田を敬遠で、下位打線との勝負を狙っていた。

 だがカウント2-1から5球目の外角152キロは、それまでよりやや低めに入り、ブランコがはじいた打球は右前へ抜け、勝負は決まった。

 山口は「最後だけ低くいってしまった」。ブランコも「最後はちょっと甘い球だったかな」と振り返る。

 ブランコにはストライクではいけない。だが高めのボール球を投げることさえ、土俵際ではプレッシャーに変わる。1球の投げミスが致命傷になった。【今井貴久】

 [2009年5月17日9時39分

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