日本ハム中田翔内野手(20)の1軍残留に、黄色信号がともった。梨田昌孝監督(55)は1日、5月30日の阪神戦での中田の空振り三振を取り上げ、高めのボール球に手を出したことを厳しく指摘した。翌31日の阪神戦には起用しなかった理由にも挙げた。中田は練習休日のこの日も札幌市内の屋内練習場で汗を流したが、視界には暗雲が垂れ込めてきた。

 目標とする1軍残留へ、中田は正念場を迎えた。ここまで8打数3安打とまずまずの結果を残してきたが、梨田監督の目には、5月30日の阪神戦で筒井から喫した空振り三振が不安材料に映った。

 代打で出場した7回。中田はカウント1-2と有利な立場で迎えた4球目、高めに抜けるボール球に手を出して空振りした。梨田監督は「あの空振りを見ていると…。ボール球をしっかり見送って、形が出来ていたら(欠場した)昨日の試合も使ってもよかった。ここという分岐点で(いい形を)見せてくれないと厳しい」と表情を曇らせた。結局、カウント2-3となった6球目の143キロ直球は、バットにかすることもなかった。

 ルーキーイヤーだった昨年も、今年のオープン戦も、中田は不振に陥ると変化球に体勢を崩され、直球にもタイミングが合わなくなる傾向にあった。1軍にしがみつくために何よりも結果が欲しい状況だが、そればかりに考えが偏ると持ち前の「怖さ」がなくなる。梨田監督は「結果をほしがるようになったら終わり。結果をほしがっているということは、これまでの内容がよくないということ」と警鐘を鳴らした。

 練習休日のこの日も、中田はバットを持って屋内練習場に現れた。ストレッチのあとは、鏡の前で黙々と素振りを繰り返した。「スイングの感じはよかった。三振してもいいから、自分のスイングを貫いて、思いっきり振るだけです」。2日からの広島戦(札幌ドーム)が終われば、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷に近い関東遠征が待っている。怪物にとっては重要な2連戦になる。【本間翼】

 [2009年6月2日8時0分

 紙面から]ソーシャルブックマーク