<楽天3-2阪神>◇2日◇Kスタ宮城

 楽天が野村克也監督(73)の「強制指令」が効いて、今季最多だった連敗を3で止め、交流戦最下位も脱出した。試合前の調整でベテランに認めていた特権を取りやめ、若手と一緒になって調整を行わせた。効果テキメンか、試合でも一丸の逆転劇だ。13日ぶり仙台での勝利に、ノムさんは「勝ちに不思議の勝ちあり」と沈滞ムードは吹き飛んで上機嫌だった。

 立て続けに快音が聞こえるたびに、ベンチには大声が響いた。4回、同点に追いついた直後の1死満塁から中村真が、地面すれすれに来た低めのフォークに食らいついた。「体が反応してくれた。ワンバウンドだけは打たないようにと思ったんですけど」。打球はしぶとく二遊間を抜け、決勝の適時打となった。1点差を追う1死一塁から中村紀、憲史、嶋、中村真の4連打。今季初の3連敗に沈んでいたチームに、打線のつながりと笑顔が戻った。

 打席で集中すれば、グラウンドでは体を張った。2回、中島が右翼線の邪飛をダイビングキャッチすれば、5回には中村紀が邪飛を捕った勢いで、カメラマン席に転がり込んだ。中村紀は「痛い、痛い。でも精いっぱいやらんとね」と、体をさすりながら笑った。今季、チームがスローガンに掲げた「氣」が、1つ1つのプレーに表れた。

 苦しみ、もがいた末の白星だ。この日から野手陣はベテラン、若手関係なく一緒にウオーミングアップ、ランニングを行うようになった。野村監督は「選手のコンディション管理は我々の(仕事の)大事な要素の1つ。まだまだ自主性がない。プロフェッショナルがいないからな。アマチュアは強制、プロは自主性の世界」と説明した。昨季は夏場に主力選手の調子が一気に急降下した。6月までAクラス争いをしながら、7月終了時には最下位。同じ過ちを繰り返さないための策だった。

 全員そろって汗を流したことが肉体だけでなく、精神にも作用した。練習中、汗だくだったリーダー山崎武も「今日はみんなやるぞって感じだったからな」と、気迫を肌で感じていた。広島に連敗した夜、若手に「今は苦しいけど、ここで踏ん張ろう」と声をかけていた。今が耐える時。昨年の苦い経験を思い出したチームは、今季初めて迎えた正念場で一丸となった。

 接戦をチームの結束で制し、連敗も3でストップ。本拠地では13日ぶりの勝利で、交流戦最下位からも脱出した。野村監督は「負ける時は楽に負けるのに、勝つときは苦しんで勝つ。これを何という。勝ちに不思議の勝ちありって言うんだよ。まさに『氣』だな」と、ホッとひと息ついた。沈みきった雰囲気の中で、チーム全員で勝利をつかんだ。よどんだ空気は、もうベンチには少しも残っていない。【小松正明】

 [2009年6月3日9時12分

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