<楽天1-15中日>◇10日◇Kスタ宮城

 霧の立ちこめる杜(もり)の都で先発小笠原孝投手(32)が今季初勝利を挙げた。8回、2死一塁から4番草野を遊直に打ち取ると、仕事を終えた左腕は悠々とベンチに戻った。130キロ台後半の直球と変化球を丁寧について111球を投げ込み、8回5安打1失点。「初勝利なんで本当にうれしいですね」と小笠原。打線の大量援護にも助けられ、昨年8月27日の阪神戦(甲子園)以来の勝ち星を手にした。

 背水の陣で臨んだマウンドだった。今季はこの試合まで5試合に登板して未勝利。好投しても打線の援護がなく、勝ち星に恵まれなかった。前回登板した3日のオリックス戦(京セラドーム大阪)では2回1/3を7安打7失点でKOされた。昨季は自己最多の8勝を挙げた左腕が苦しんでいた。それだけに「何度もチャンスはあるわけではない」と臨んだ試合だった。

 霧の中に消えかけた勝ち星を引き寄せた。5回、1死二塁から8番丈武の打球を右翼・小池が打球を見失い1死二、三塁。あと2アウトで試合成立というところで濃霧のため試合が中断された。それでも「気にしないようにしていた」と指先の感覚を確かめるように、ベンチ前でキャッチボールを続けた。19分間の中断にも集中力を切らさなかった。

 左の大黒柱だったチェン不在の中で存在感を示した。「まだ反省する点はあるが、今日みたいな粘りのあるピッチングをしたい」と小笠原。若手中心の先発投手陣の中で11年目左腕が意義深い仕事をした。【桝井聡】

 [2009年6月11日11時7分

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