<楽天3-1中日>◇11日◇Kスタ宮城

 マー君の快投の前に、オレ竜打線も沈黙だ。打線が楽天先発田中に7回まで散発5安打の無得点に封じられ、完敗した。チームはこれで07年から田中の登板した試合は1勝4敗。交流戦絶好調の4番トニ・ブランコ内野手(28=ロッキーズ2A)も今季2戦合計で6打数無安打に抑えられた。前日に今季最多15得点と大爆発した勢いを止められたが、次なる遠征地・札幌で仕切り直す。

 落合博満監督(55)は敗戦が決まると淡々とした表情で足早にベンチ裏へ引き上げた。7回を散発5安打の無得点。前日、19安打15得点をあげたオレ竜打線を沈黙させた相手の若きエース田中について問われると「わかりません。年に1回か、2回しか当たらない投手なんだから」とだけ話して、球場を後にした。

 20歳の右腕にゲームを支配された。初回、先頭の井端が初球を中前打として出塁した。だが、荒木が送りバントを失敗してチャンスを逸すると、ここからスコアボードには「0」が並んだ。7回まで得点圏に走者を進めたのは2度。だが、150キロの直球と、切れ味鋭い高速スライダーの前にタイムリーは出なかった。

 ようやく見せ場をつくったのは田中が降板した後の8回だった。楽天の2番手小山、3番手有銘の連続四球で無死満塁の絶好機をつくった。打席には主砲ブランコ。逆転の期待がふくらんだが、4番手青山の前に空振り三振にたおれた。結局、和田の犠飛で1点を返すのが精いっぱいだった。

 前夜、19安打で15得点を奪った打線が田中の前に沈黙した。特にリーグの本塁打王ブランコが完全に封じ込まれた。三ゴロ、投ゴロ、見逃し三振。まともな当たりは1本もなかった。「田中は確かにいい投手だ。でも、オレも研究している」と対決を待ち望んでいたB砲だが、本拠地と合わせて2度の対戦で6打数無安打。交流戦本塁打王(10本)も形無しだった。試合後は敗戦の責任を背負うかのように険しい表情だった。通訳から離れ、1人で足早にバスに乗り込んだ。

 これで「マー君」には07年交流戦での初対決から5試合でチームは1勝4敗。現在、チームのエース格と言える吉見を先発に立てたゲームを落とした分も、重苦しいムードだった。【鈴木忠平】

 [2009年6月12日11時21分

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