<中日3-1ソフトバンク>◇17日◇富山

 これが竜の守護神だ!

 中日岩瀬仁紀投手(34)が9回の1イニングを無失点に抑え、今季16セーブ目をマークした。前夜救援に失敗し黒星(2敗目)を喫したソフトバンクにリベンジ。2死から田上に三塁内野安打を打たれたが、後続をピシャリと抑え、先発小笠原の今季2勝目をアシストした。これで交流戦の勝ち越しが決定し、チームは再び貯金1。タフなクローザーに守られ、残り2戦となった交流戦でスパートをかける。

 岩瀬が抑えていた感情を解き放った。最後の打者、代打多村を三塁ゴロに仕留め、小さく握りしめた左拳を左太ももに振り下ろした。相手は前夜救援に失敗し、今季2敗目を喫したソフトバンク。真っ向勝負でやり返した。「まあ、1日1日が勝負ですから。割り切っていきました」。プライドを見せつけた今季16セーブ目をかみしめ、迎えのバスに乗り込んだ。

 2点リードの9回だった。先頭長谷川は宝刀スライダーで見逃し三振。続く松田もスライダーで空振り三振。田上に当たり損ねの三塁内野安打を許したが、動揺のかけらも見せない。最後の打者代打多村は小さく落ちるボールで仕留めた。好投の先発小笠原からセットアッパー浅尾とつながれた勝利の方程式。同じ相手にやられるわけにはいかなかった。

 切り替えの早さと、土壇場の覚悟は身についている。同点の延長10回に決勝打を打たれた前夜、試合後チームバスに1時間も揺られて金沢から富山に移動した。敗戦に沈む車中でも感情の乱れは見せない。下戸のため酒にも頼らず、すぐに寝てリセットする、誰にもまねのできない流儀を持つ。そして「ボクが抑えないと誰がその後抑えるの。誰かが助けてくれるわけじゃないから」という強烈なプロ意識が身上だ。この日もいつものようにブルペンに入り、登板に備えウオーミングアップ。はじめからやり返すつもりだった。

 交流戦で上げた12勝のうち岩瀬がセーブを記録したのは8試合目。投打がかみあってきた中、守護神の存在感は増すばかりだ。落合監督は「勝ちパターンで勝った?

 それは本人に聞いてくれ」とあえてコメントを避けた。森バッテリーチーフコーチは「やりかえした?

 昨日やられただけだろ。今日は(同点の前夜と違い)勝っている試合。その違いはあったけどな」と話した。1度打たれたくらいで、信頼は揺るがない。

 交流戦も残り2戦。岩瀬は勝利の余韻さえも消化し、最終回の登板に備える。【村野

 森】

 [2009年6月18日10時49分

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