<楽天2-11西武>◇3日◇Kスタ宮城

 おかわり弾でやっと勝った。西武の中村剛也内野手(25)が8回、楽天田中から逆転劇の口火を切る26号同点2ランを放った。本塁打争いのトップ独走中ながら、ここ6試合は空砲続きというジンクスも止まった。前夜のパ・リーグ最長5時間42分での敗戦の疲れと悔しさも吹き飛ばし、チームは楽天と並ぶ3位に浮上した。

 ワンプレーが西武の大勝に結びついた。2点を追う8回1死一塁、中村は「ゲッツーだけは打たないように」と思って打席に立った。初球、中島の二盗はアウトのタイミング。だが、相手二塁手がタッチし損ないセーフの判定となった。そこで中村の意識が変わった。「二塁に走者が進んだので、最近チャンスで打ててなかったし、なんとしても打ちたいって思った」。縦に割れるスライダーについていった。右ひざをつきながら、バットをなぎ払った。芯でとらえた打球はバックスクリーンにはずんだ。

 前夜、リーグ史上最長の5時間42分ゲームで敗れた。いつもは家で見るスポーツニュースを西武ドームのロッカーで見た。それでも深夜1時半に帰宅してからは、しっかりうどんをおなかにおさめ、この日に備えた。チームは新幹線で午後1時半過ぎに仙台入りし、同3時過ぎに練習開始の強行軍。全体アップを取りやめるなど、コンディションの維持に工夫をこらしたが、「そんなにしんどくなかったです」と打撃練習でも快音を連発した。相性のいい田中から、打ちそうな雰囲気はぷんぷん漂っていた。「昨日、長い試合で負けてるので、延長だけは嫌だなって思ってました」と笑わせた。

 自宅では今年、知人からもらった1升炊きの炊飯器が活躍している。麻里恵夫人と2人で1升。いくらでもおかわりできるだけでなく、夫人のにんじん作戦にも役立っている。10本打つごとに特製ケーキが焼かれるが、昨年までの5合炊きから2倍の大きさのスポンジが焼けるようになった。中村にとっても、励みになるスケールアップだった。

 これまで本塁打を打った試合では6試合続けて負けていた。チームメートは「また打って負けたな」と冷やかして、中村が気落ちしないように取りはからってくれていた。気遣いはありがたかったが「そんなに気にはしていなかった。自分の仕事をするだけですから」。この日、中村の2ランから始まって11点を奪って勝った。チームの雰囲気すら変える一撃。あらためて主砲の一振りのすごみを感じさせた。【竹内智信】

 [2009年7月4日9時18分

 紙面から]ソーシャルブックマーク