<ロッテ2-1楽天>◇2日◇千葉マリン

 ロッテがサヨナラ勝ちで3連勝を飾った。1-1の延長11回、2死満塁から早坂圭介内野手(25)が、右前へ決勝打を放って決着をつけた。今季限りで退団するボビー・バレンタイン監督(59)が試合前、退団表明後初めて、ファンに「みなさんからは、温かい支援と愛情を受けた」と目頭を押さえ思いを伝えた。感謝の気持ちを込めたサヨナラ白星だった。

 ヒーローは打った瞬間に右腕を突き上げた。延長11回、2死満塁のチャンスに早坂がやってのけた。右前へサヨナラ打。一塁をまわると、ヘルメットを脱ぎ捨て、ナインの手荒い祝福に身を任せた。左わき腹を痛めた西岡に代わって遊撃で先発。最後の打席に向かう前には、「お前が決めてこい」と西岡からゲキを受けていた。「サヨナラは人生初。もみくちゃ?

 痛かったけど最高にうれしかった」。劇的な結末に、右翼席のファンも酔いしれた。

 この日は特別な試合でもあった。試合前のトークショーに、バレンタイン監督が登場。正式に今季限りでの退団を表明してから初めて、ファンに直接、思いを伝えた。「ファンのみなさんからは、温かい支援や応援を受け、これから先も、死ぬ時まで感謝をし続けたい」と目頭を押さえながら話す姿に、ファンも応援旗を振って激励した。

 プレーボールの際には右翼席のファンが「BOBBY

 FOREVER

 Priceless

 お金で買えない価値がある」という横幅70メートルの巨大フラッグで迎えた。試合のスポンサーだったマスターカードの広告文句をもじって、バレンタイン監督のこれまでの功績をたたえた。

 サヨナラ打を放った早坂が言う。「監督の退団表明?

 そういうこともあったけど、選手は今まで通りやっている。本来のロッテの姿を見せようと、みんなプレーできる喜びを力にして、日々、努力している」。球団フロントとバレンタイン監督の対立から、お家騒動まで発展したゴタゴタ劇は清算して、純粋な気持ちで試合に臨めていた。

 まだ、ファンに向けてさよならを言うには早いかもしれないが、きちんと感謝を述べた直後の試合でのサヨナラ勝ちは、バレンタイン監督の気持ちの表れか。「本当に世界で最高のファンだと思う。こういった試合を数多く見てもらいたいと思う」。今季、そのチャンスは、まだまだ残っている。【竹内智信】

 [2009年8月3日8時37分

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