<巨人2-0ヤクルト>◇9日◇東京ドーム

 まさにカメ懸かりだ。前日8日にサヨナラ本塁打を放ったばかりの巨人亀井義行外野手(27)が、2戦連続の17号2ランで試合を決めた。0-0の7回、好投のヤクルト先発由規の内角フォークを右翼席へ運ぶ技ありの一打だった。今月7戦で5発の大暴れで強力打線をけん引している。チームは4連勝で貯金を今季最多の24とし、3位ヤクルトを7・5ゲーム差と大きく引き離した。

 高い。亀井がヤクルト由規の失投を逃さなかった。0-0の7回2死一塁。内角球に反応した。やや落ちが甘いフォークボール。両脇をギュッと絞り、体を前後させず我慢し、バットの芯をぶつけた。

 美しい軸回転に比例した右翼への放物線は失速などしなかった。「みそ味のつけめんを毎日食べる」験担ぎなど関係なさそうな、卓越した技術。打った瞬間、原監督に向かって小さく拳を握った。「(由規は)真っすぐ、スライダーという印象。狙ってなかったが」。この大切な試合までフォークを封印していた由規。若き右腕より、乗りに乗ってる亀井の方が役者が上だった。

 この4連勝中、3度お立ち台を占拠した。「まだファンの方に信用されてません。これからです」と、巨人ファンの思いと裏腹のコメントで締めた。3日、関西空港出発ロビー。荷物を預けて手ぶらのはずが、大きな紙袋を持って現れた。手作りのメッセージボード、手紙に包み箱とぎっしり詰まっていた。「プレゼントをたくさんいただいて。空港の係員が紙袋にまとめてくれたんです…」と照れた。一番人気の坂本でも未経験の愛されよう。勝負の8月に貢献を続ける男を、みんなが黙って見逃すはずがない。

 神懸かった巨人のカメ様。最後まで「神様に怒られちゃいますよ。何で打てるか分かりません。最高だけど、尚成さんに勝ちがつかなかったのが悔しい」と仙人のようだった。だが原監督の見立ては亀井とは全く違った。「2-2から内寄りのフォーク。ボクの中では、彼の気持ちを代弁するなら、打つべくして打った。同一カード3連勝は非常に大きい。やられたら絶対いけない。プロ野球の定説」。3位ヤクルトを今季最大の7・5ゲーム差と突き放した打棒が、ファン同様にまぶしく映った。【宮下敬至】

 [2009年8月10日9時15分

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