<阪神1-3中日>◇11日◇京セラドーム大阪

 中日岩瀬仁紀投手(34)が今季34セーブ目を挙げ、歴代3位タイの通算227セーブ目を手にした。2点リードの9回に登場。2死から浅井に右前打を許したが、最後の打者・代打高橋光を落ち着いて投ゴロに仕留めた。

 勝負を完全に支配した。先頭桜井はカウント2-2からワンバウンドを振らせた。続く矢野は、外角のボールからストライクゾーンギリギリに入ってくる絶妙のスライダーで見逃し三振に仕留めた。最後は高橋光の打ち気を見抜き、初球から際どい外角低めで勝負。中途半端な当たりで凡退させた。「(自分の)スピードはなかった。あとから言われて気づいた。でも、投げ間違えはなかった」と話した。

 岩瀬が打たれない秘訣(ひけつ)は、投球スタイルを変化させていることにある。守護神には剛速球とウイニングショットが不可欠といわれる。セーブ歴代1位の高津はシンカー、2位佐々木はフォークボール、3位に並ぶ小林雅はスライダーとムービングボールで勝負した。

 岩瀬もかつては150キロの剛球と高速スライダーでねじ伏せたが、球速が落ちた近年は落ちるボールを習得。自らの状態に合わせて投球パターンも変え、打者が持つイメージを幻惑し続けている。

 徹底的な自己管理で投球に備えてもいる。アルコールに頼らず、8~9時間の睡眠を確保することで、前日の疲労をなるべく引きずらない。この日は午前5時7分の地震で宿泊先のホテルが揺れ、思わず跳び起きた。それでも状況を把握し、ひとまず安全を確認した後「2度寝」した。繊細さと大胆さをあわせ持つことで、最後のトリデを守り続けている。

 連続試合のセーブ記録も「18試合」とし、小林雅を抜いて単独2位に浮上した。残るは22試合連続の1位佐々木をとらえるだけだ。それでも岩瀬は言う。「記録?

 それは別に。全部終わった後でいいです」。今日も無心で最終回のマウンドに備える。【村野森】

 [2009年8月12日9時40分

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