超珍指令だ!

 中日落合博満監督(55)が9日、ナゴヤドームで行われた練習で右翼候補の若手3外野手にダンスを躍るよう指示を出した。守備の際の足の運びを教えるのが目的で、野本、堂上剛、平田の動きを見守った。指揮官はさらに、吉見ら3投手を呼び止め訓示。ここ2日間グラウンドで派手な動きを見せなかったが、クライマックスシリーズ(CS)へ向け独特の方法でメスを入れた。

 EXILEか、はたまたドリフのひげダンスか!?

 ナゴヤドームの中堅フェンス付近で、前代未聞の光景が繰り広げられた。野本、堂上剛、平田の若手3外野手が、素早く前後左右に動きながらステップを踏み始めた。反復横跳びのようでもあり、動きの速い盆踊りのようでもある。そして、不思議なことにそれなりに息が合っている。落合監督が見守る中、CSで右翼候補となる3人が3分間コミカルな動きを続けた。

 実はダンスを踊るよう指示が出ていた。堂上剛は「内容は言えませんが、守備での足の動きを教わっていた。踊りはどうしていいかわからないので適当でした」と苦笑い。平田は「体のキレがないということだと思います」と話した。いずれも指揮官のノックを受けたことはあっても、踊りを披露したことはない。思わぬ指示に面食らいながら、意図をくみ取ろうと必死に足を動かした。

 落合監督は今年6月、米歌手マイケル・ジャクソンの死去を受け、都内の自宅で92年の「ライブ・イン・ブカレスト」のDVDを見た。夜の更けるのも忘れ、キング・オブ・ポップのダンスと歌に見入っていたという。そんな影響も、超ユニークな指示につながったのか。額から汗を噴き出させる3人を、笑みを浮かべながら見守った。

 指揮官はさらに、吉見、チェン、小林正を呼び止め、約5分間訓示した。内容は不明だが、穏やかなムードを演出しながらCSに向けた心構えなどを伝えていたもよう。チェンは「今年はいろいろとアドバイスをいただいて勉強になります。1人1人に違うことを言ってもらった」。吉見は「野球の話ばかりじゃないですよ」と話した。

 落合監督はV逸が決まった9月23日「見くびるなよ」と話し、CS第1ステージまでの3週間でチームを立て直す決意を示した。ここまでは休養と練習のバランスを考慮し、グラウンドでチームにムチを入れることを控えてきたが、この日ユニークな方法で「静」から「動」へシフトした。ダンスの特訓をへた中日にとって、CSは笛吹けど躍らず、なんてことにはならないはず。【村野

 森】

 [2009年10月10日11時31分

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