阪神は23日、獲得を目指す前マリナーズ城島健司捕手(33)と電撃初交渉を行い、好感触を得た。南信男球団社長(54)と真弓明信監督(56)が福岡へ出向き、同市内のホテルで約1時間30分、恋人に猛烈アタック。4年総額20億円を基本とした球団史上最高額の好条件に背番号「2」を提示し、真弓監督は「優勝に力を貸してくれ」と訴えた。城島も「誠意を感じた」と好印象。早ければクライマックスシリーズ(CS)終了後にも「虎のジョー」が誕生しそうだ。

 はやる気持ちを抑え切れなかった。「(口説き文句を)考えなあかん」と思いを巡らせていた指揮官は、来季の巻き返しに向けて行っている甲子園での秋季練習を欠席してまで“恋人”の待つ福岡に乗り込んだ。

 南球団社長とともに臨んだ、城島側との初交渉。お目当ての相手とひざをつき合わせると、真弓監督は真っすぐな思いを投げ込んだ。「何とかこっちに来て(阪神の)優勝に力を貸してくれ」。約1時間30分に及んだ電撃初交渉。短い言葉の中には、チームとしての総意が込められていた。

 阪神側の熱意はしっかり伝わったはずだ。城島のマリナーズ退団を日本国内、12球団でいち早くかぎつけ、すぐさま獲得を表明したのが阪神。代理人サイドとも真っ先に接触し、どの球団よりも早く城島本人との初交渉にこぎ着けた。交渉の席では、4年総額20億円を基本とした球団史上最高額の好条件に加え、城島がプロ入りから15年間背負い続ける背番号「2」も提示。速攻熱烈アタックで、最大限の誠意を示した。

 南社長は「条件提示?

 全部含めてこちらの熱意を伝えさせてもらった。いい感触を感じている。城島は本当に野球が好きで、真剣に取り組んでいる選手という印象を受けました」と好感触を口にした。メジャー30球団からマリナーズを選択した際の理由を「最初に動いてくれて、最初に僕を必要としてくれている誠意が伝わってきた」と語った城島。最大のライバルと目されてきた古巣ソフトバンクは、いまだに獲得の参戦表明に至っておらず、大きなリードを奪ったことは間違いない。

 「本人にとって大きな決断になるから、もう少し時間はね。今日会ってすぐに(阪神へ)行きますとはならない。次に向けては、いろいろ打ち合わせたい」。帰阪する際、南社長は慎重な姿勢を見せたが、表情には獲得への自信もうかがえた。チームの将来を左右する一大プロジェクトは、早ければCS終了後にも結実。阪神城島誕生も、秒読み段階に入った。

 [2009年10月24日11時40分

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