中日岩瀬仁紀投手(35)が18日、来季復活を宣言した。3年ぶり3度目となる最多セーブ投手賞受賞のため、東京都内で行われたプロ野球コンベンションに出席。今季終盤に体の不調を訴えて1カ月登板回避したが、あと16セーブで到達する名球会入会資格の250セーブを通過点に、フル回転する覚悟を示した。表彰式には最多勝利投手に輝いた吉見一起投手(25)と今季限りで現役を引退し、連盟特別賞を受賞した立浪和義氏(40)も出席。ベストナインには中日勢でただ一人、トニ・ブランコ内野手(29)が一塁手で選ばれた。

 岩瀬の表情に手ごたえがにじんだ。セーブ王表彰の壇上で「何度とってもうれしい。今年は久しぶりだったのでとくにうれしい。来年も取れるようにがんばりたい」とあいさつした。10月24日にクライマックス・シリーズ(CS)第2ステージで敗退してから、初めての公の場。思いを込めた復活宣言だった。

 41セーブで3度目のセーブ王のタイトルを獲得したが、その裏で苦しんでいた。体の不調のため、9月下旬から1カ月間登板を回避。ストッパーの代役に浅尾が指名されるなど、絶対守護神の立場は揺らいだ。「投げるべきところで投げられないのが1番つらかった」。CS第1ステージで復帰したが、登板した第3戦で1回1失点と精彩を欠き、それが今季ラスト登板となった。来季復活できるかに注目が集まっていた。

 CS敗退後、鳥取市内のトレーニング施設「ワールドウイング」で、約2週間のリハビリを行った。「疲れが出たところを徹底的に鍛えていました」。オフに必ず訪れ、肉体を手入れしてきた大切な場所。イチローや同僚山本昌も定期的にトレーニングを行っている。そこでインナーマッスル(体幹の深層筋)と、ダメージを負った心を重点的にケア。徐々に復活への手ごたえをつかんだ。「体はよかったときの状態に戻ってきた」。自信も回復した。

 新たな大記録への期待が膨らんだ。ここまで通算234セーブをマークしており、あと16セーブで名球会入りの条件となる250セーブに到達する。今季まで6年連続で38セーブ以上を挙げており、体調さえ万全なら十分射程圏。また、入団以来50試合連続登板を続けており、来季もクリアすれば前人未到の入団以来12年連続となる。「そういうのは、おのずとついてくるものだから」。記録はあくまで通過点。そんなプライドも戻ってきた。

 打倒巨人への思いもかきたてた。「(CS第2ステージの)巨人戦に最後、投げられなかったわけだから」。自分が機能しなければ、最強のライバル巨人を倒すことは簡単ではない。タイトルを取りながら、消化不良に終わった複雑な思いを胸に秘め、鉄腕がマウンドに帰ってくる。【村野

 森】

 [2009年11月19日11時51分

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