決意のフライング・スタートだ!

 中日のベテラン和田一浩外野手(37)が27日、自主トレの開始時期を約1カ月前倒しし、12月初旬とする考えを明かした。これまでの休養重視の方針を修正し、早めの始動で肉体の衰えを封じ込める。狙うは打撃3部門のベスト記録をすべて更新すること。ケタ外れの中年パワーで、V奪回を狙うチームをけん引する。

 若いもんには負けられない。過去の自分にも負けられない。ベテラン和田が、自主トレ開始を昨年より1カ月早める計画を明かした。「12月に入ったらすぐ始めようと思っています。動けるときには体を動かしたい。このトシになると年々体は衰えていくんで、今までと同じことをしていては維持できないですから」。来季プロ14年目。中日のV奪回に欠かせないスラッガーの一念発起だった。

 オフは例年、休養を重視してきた。打席では常にフルスイングし、守備でも走塁でも手を抜かないため、シーズンでたまる疲労は尋常ではない。温泉につかり、趣味のゴルフで体をほぐしながら徐々に疲れを取っていた。だから、西武時代の自主トレ始動は年明けの1月5日前後。「若いころはそこまで休んでも十分余裕を持ってシーズンに備えられた」と振り返る。年々スタートを早め、昨年は大みそか直前。そこから一気に1カ月近く前倒しするのはオーバーワークのリスクもあるが、あえて「フライング」気味に動きだす。

 取り組むのは下半身強化だ。フルスイングを支える土台であり、腰痛の持病を持つ和田にとっての生命線。ロング走でスタミナをつけ、徐々に瞬発系のメニューを加えていく。2月1日のキャンプ初日からガンガン打ち込むことを想定し、途中から打撃練習も加える予定。「打つ量はキャンプには及ばないと思いますけどね」。妥協せず、ベスト体重87~89キロの肉体を仕上げる。

 目指すは打撃3部門での自己記録更新だ。「今までより1厘でも、1本でもいい成績を残すことしか考えてません」。これまでのベストは打率が03年の3割4分6厘、本塁打は02年の33本、打点は06年の95打点。今季はリーグ7位の打率3割2厘、5位の29本塁打、6位の87打点をマークしたが、満足していない。

 来季はシーズン開幕が1週間早まり3月26日となる。そんな日程も逆算しての前倒し始動。「まだ、レギュラーでいたいんで」。人なつっこい笑顔の奥で、衰え知らずの闘争心に火がつき始めていた。【村野森】

 [2009年11月28日11時9分

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