日本ハム糸井嘉男外野手(28)が、「ノムラの考え」で今季の飛躍を誓った。8日、静岡・浜松市内での自主トレを公開。昨年、打率3割6厘、15本塁打、24盗塁で、ゴールデングラブ賞も獲得するなど大ブレークしたが、今季はユニホームを脱いだ同郷の楽天野村前監督の教えを胸に、144試合フル出場を目指す。

 顔を合わせることはなくなっても、恩師の言葉は胸に深く刻まれている。昨年大ブレークし、その真価が問われる今シーズンに臨む糸井は、同じ京都北部の丹後地方出身である楽天野村前監督の教えを胸に、自主トレに励んでいる。「いつも(ベンチに)あいさつに行くのを楽しみにしていました。寂しいですよね。でも野村さんの言葉は頭にあります。まだ1年しか結果を残していないし、今年は144試合フル出場したいです」と力を込めた。

 同郷出身ということで、野村監督にはいつも声をかけてもらっていた。大勢の報道陣の前ではちゃかされてばかりだったが「ベンチ裏であいさつするときは違いました」。野球に対する取り組み方など、数々の教えを受けた。中でも印象深かったのが「縁を大切にしなさい」という言葉。06年に投手から野手へ転向した当初は苦しんだが、その後運命の巡り合わせとして受け入れ、努力を重ねる中での支えにもなった。

 今季はスレッジが横浜へ移籍し、梨田監督からはクリーンアップ候補として期待されている。「僕なんて…。自分の打撃を心がけたいです」と話す糸井だが、それも自らの力でたぐり寄せた縁。900~910グラムほどだったバットも920グラムまで重くし「飛距離を出したい」と意欲は十分だ。

 飯山、今成らとの合同自主トレは、ノックやロングティー打撃など約5時間のハードな内容。「1人でやると妥協してしまう部分があるので、いい練習ができています。ホームランも打ちたいし、盗塁も最低30個はしたいし、全部の成績を上げたい」。昨年のブレークを、ただのプロローグにするつもりだ。【本間翼】

 [2010年1月9日11時4分

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