西武ドラフト1位菊池雄星投手(18=花巻東)が27日、初の4連投で新人合同自主トレを打ち上げた。西武第2球場の室内ブルペンに4日連続で入り、細川亨捕手(30)を座らせて23球を投げた。変化球も解禁し、スライダーを1球だけ試投した。約3週間、9度のブルペン入りをした合同自主トレを最多となる約100球で締めて調整は順調そのもの。いよいよ2月1日から宮崎・南郷でキャンプが始まる。

 スピンの効いた球が、ミットを勢いよく鳴らした。自主トレ初の4連投だったが、疲れなどみじんも感じさせない。雄星の腕の振りは立ち投げから違っていた。30球以上を投げると、細川を座らせ、ムチのようにしなった左腕から23球を投げ込んだ。「5、6割の力で投げました。この前、細川さんにボールがきてないと言われて悔しい気持ちがありました」。25日に受けてもらった時、「調子が悪かったんでしょう」と評した先輩捕手の言葉が胸に残っていた。怪物左腕と呼ばれるプライドをぶつけた。

 この日で新人合同自主トレが終了した。「フォームを固めるのが自主トレの課題。そこは完全にクリアできたと思います。やり残しはありません」と成果に胸を張った。それを裏づけたのが、細川のミットが大きく流れた21球目だった。「スライダーです。どんなものかなと遊び感覚で投げてみました。(変化球は)半年ぶりくらい。自己採点?

 マイナスじゃないですか」と笑った。ブルペンで“遊べる”ほど、18歳の心には余裕があった。

 「ごつい体からあれだけ柔らかく投げられる。すごくいいボールだった」と受けた細川もうなった。特に評価したのが考えながら投げている点だ。「バランスを調整しながらスピードボールを投げていて、自分で考えながらできる子なんだなと思った」と感心した。一方で「力んで上半身だけで投げちゃう時がある。いい時はいいけど、力が入ると回転が良くない」と宿題も与えた。雄星は早速動いた。投球練習を終えて指摘を受けると、そのまま細川相手に37球の立ち投げを敢行した。自主トレ最多となる約100球で打ち上げた。

 自主トレでは、ブルペン入りなどの予定を前倒ししてきた。調整が順調だったのが最大の要因だが、フォームを固めるためでもあった。「キャンプでは周りにいいピッチャーがたくさんいて、その隣で投げる。いろんな人も見にくるし、力んでフォームのバランスを崩すかもしれないので」。初めてとなるプロのキャンプを自分なりに想像し、万全の準備をして次のステップに進む。「思い通りのボールを投げられれば自信はあります。あとはその確率を上げること」と今後を見据える。所沢で得た確かな自信を胸に宮崎に乗り込む。【亀山泰宏】

 [2010年1月28日9時33分

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