優しきパパはGキラー!!

 広島高橋建投手(40=メッツ)が沖縄キャンプ2日目の2日、ブルペンで投球練習を行った。捕手を立たせて33球、感触を確かめながら投げ込んだ。同キャンプに入って初めてのブルペン入りは、長女優さんの16歳の誕生日に合わせたもの。視察した巨人007は「一昨年よりも上積みされると困る」と話すなど、メジャーから古巣に復帰した左腕を警戒した。

 頼れるパパが南国で粋な始動だ。沖縄キャンプ2日目の2月2日。ダイナミックに右足を上げ、一気に左腕を振り下ろす投法は健在だった。最愛の家族にささげる33球。捕手を立たせたままの投球だったが、昨季、メジャーでプレーした存在感を際立たせていた。

 高橋は明かす。「今日は上の子が誕生日で。ここで投げ始めようかと思って。いい22番にしたい」。この日、長女の優さんが16歳になった。メジャー移籍前の背番号も22番。まさにラッキーナンバー尽くしのスタートだ。4月に41歳を迎えるが球威は衰えていない。大野ヘッド兼投手コーチからも「リリースの時に『スピン感』(球をスピンさせる感覚)がある。いい感じで力が伝わっているんじゃないか」と評価された。

 家族思いの高橋のブルペン投球を見て、苦笑いしたのが巨人杉山スコアラーだ。「一昨年やられたから。制球もいいし、内角と外角の出し入れもできるし、緩急もうまい。力でねじふせられたというより、技術でやられた。(08年よりも)上積みされると困る」と警戒を強めた。無理はない。メジャー移籍前の08年、対巨人戦は6戦3勝。通算でも17勝12敗を誇る「Gキラー」なのだ。高橋が不在だった昨季、対巨人戦は7勝14敗3分けと惨敗した。カープにとっては、誰よりも頼もしい「補強」なのだ。

 高橋

 若い選手と、日本語の伝わるなかで楽しくやっています。できれば先発で投げたい。ローテーションを勝ち取るため、みんなで争って、勝てればすごくうれしいですね。

 この日、愛娘には「誕生日、おめでとう」とメールを送った。キャンプ前にはカバンをプレゼント。家族愛にあふれる左腕は表情を引き締めて言う。「僕は中継ぎ、敗戦処理をしてここまで来られた。再度、そういうもの(先発)に挑戦するのもいいかな」。先発ローテーションが目下の目標。そして、円熟のマウンドさばきで覇者ジャイアンツに立ち向かう。【酒井俊作】

 [2010年2月3日11時10分

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