またノーヒット!

 ソフトバンク巽真悟投手(23)が開幕ローテーション入りへ再び快投を見せた。23日にヤクルトとの2軍練習試合に先発。4回無安打無失点に封じ、4三振を奪った。18日の韓国KIA(起亜)戦に続き、対外試合では7イニング連続の無安打無失点。秋山幸二監督(47)の直接指導により「ブレないフォーム」を身につけ、首脳陣の評価も上がる一方だ。A組(1軍)は24日、宮崎キャンプを打ち上げる。

 打たれない。細身の体をしならせ、巽が右腕を振り抜いた。4回2死まで打者11人を相手に1人の走者も許さない。最後の最後で四球を出したが、続く中尾を1球で左飛に仕留め、涼しい顔でマウンドを降りた。相手は2軍とはいえ格の違いを見せつけた。

 巽

 気持ちよく腕が振れた。内容を重視していたけど、結果もついてきた。

 頼もしき「ノーヒッター」だ。前回18日のKIA戦でも3回を無安打無失点に封じており、対外試合の登板7イニングでいまだに1本の安打も許していない。近大3年の07年4月には京大戦で無安打無失点試合を達成した右腕が、プロでも本領を発揮し始めた。

 制球力と安定感が光った。この日は打者13人に対してカウント0-2は1度もなし。最速144キロの直球と変化球で4奪三振もマークした。「全球種でカウントが取れたし、このまま続けていきたい」。端正なマスクから笑みがこぼれた。

 好調の源は「ブレないフォーム」だ。キャンプ序盤では投球後に上体が左側へ流れ、フォームが不安定になっていた。秋山監督からは4日に室内練習場で報道陣をシャットアウトしての“極秘特訓”を受け、8日にもビデオカメラで撮影した映像をもとに助言された。「左の股(こ)関節に体重が乗るように指導してもらいました」。この日は前方へ真っすぐ重心が移動。高山投手コーチも「フィニッシュで全然、グラつかなくなった。球の質が数段良くなった」と進化を認めた。

 首脳陣の評価も上昇の一途だ。第2球場まで駆けつけた秋山監督は「安定してきた。キレが出てきたな。結果を残してどんどん自信をつけてくれればね」と目を細めた。先発の残り2枠を巡っては、24日の2軍練習試合(新日石ENEOS戦)に登板予定の大場と岩崎をはじめ、高橋秀、藤岡らライバルは多い。

 昨季は中継ぎで1試合に登板しただけの巽は実績面で劣るが、好投を積み重ねれば道は開ける。次回は3月2日からのオープン戦西武2連戦に登板の見込み。「日に日に感触は良くなっている。あとは結果を残していくだけ」。ブレない目標に向け、一心不乱に突き進む。【太田尚樹】

 [2010年2月24日11時10分

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