東大は2回には2死満塁、4回には2死一、三塁の好機も1本が出ず。早大に2試合連続の完封負けを喫した。

先発の長谷川、2番手の鈴木大が早大打線に打ち込まれる中、3番手で登板した元ロッテの渡辺俊介氏の長男、渡辺向輝投手(3年=海城)は1回を無安打無失点。「少し制球しにくいところもあったんですが、その後は打たせてとってポンポン抑えることができた。全体としてはよかったと思います」と、敗戦にも前を向いた。

相手の小宮山悟監督(58)は、父・俊介氏とロッテでチームメートだった。小さいころ、父に連れられ球場に行くと、いつも声をかけてくれた。「小宮山監督は、会社で言うと父の上司のような感じ。父がお世話になった方のチームと対戦できるのはすごくうれしい。光栄と感じています」と、胸を張った。

父・俊介氏をほうふつとさせるアンダースローも「基本的には、父とは逆を行こうとしていたんですが、(体の動きの)無駄な部分を消していったら、自然と同じになってしまった。結局体の作りが一緒なので」と苦笑い。それでも、変化球、ボールの質の違いで、個性をアピールしていく。

今、野球が楽しい。東大でプレーすることの意義を「僕のような投手でも経験を積むことができること」をあげ、もうひとつには「この後プロに行くかもしれない最高の相手と勝負できること」と説明。「今までの人生の中で一番楽しいと感じています」と、笑顔を見せた。

取材が終わり、帰り際には小宮山監督とすれ違い、「またな」と声をかけられると、元気に「ハイ、ありがとうございます」と応えた。まだ3年生。早大は、いつか勝ちたい相手であることに間違いない。【保坂淑子】