慶大は、立大にリードを許すも、2度同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。

渡辺憩捕手(1年=慶応)が、また大仕事をやってのけた。2-4で迎えた9回裏。1点を返し、なおも2死三塁。代打を告げられると、堀井哲也監督(62)から声をかけられた。「バットに当てれば何かが起きるから」。渡辺は小さくうなずき打席に向かった。

2ストライク追い込まれた後だった。「何かを起こそう、と思った」と、バットを振り切ると、打球はレフト頭上を越え左越え適時二塁打で同点に追い付いた。「うれしい気持ちでしたが、まだ同点だったので、任せた、という気持ちでした」と喜びを押し殺した。

法大戦では延長12回、初打席サヨナラ本塁打を放つなど、勝負強さを発揮している。「去年の夏、ああいう舞台(甲子園)で試合させてもらい、たくさん試合を(優勝)させてもらった。こういう大きな場面で自分のスイングができるのは、その経験があったからだと思います」と、その理由を明かした。

法大戦の後には、昨夏の慶応Vメンバーの中で、イケメンキャラは丸田湊斗外野手(1年=慶応)ではなく、実は渡辺だった、という森林貴彦監督(50)のコメントが話題になったが、あらためて「いや…丸田の方がかっこいいと思います(笑い)」と照れ笑い。2試合、代打でチームを負けから救った渡辺は、今、誰よりもかっこよく輝いていた。