本拠地札幌で、新戦力がベールを脱いだ。日本ハムの新外国人ブライアン・ウルフ投手(29=ブルージェイズ)が、4日のオープン戦阪神戦で実戦初登板し、1回を打者3人と完ぺきに抑えた。2三振を奪い、最速は150キロをマークと存在感を示した。3日に好投したバディ・カーライル投手(32=ブレーブス)とボビー・ケッペル投手(27=ツインズ)に続き、3人目の男が鮮烈デビューで、中継ぎ陣の筆頭格に名乗りを上げた。

 ウルフが初実戦で快投を演じた。6回からマウンドに立つと、5番ブラゼルを投ゴロ、6番桜井は三振と簡単に2死を奪う。続く狩野の4球目、この日最速の150キロをマーク。最後は145キロのシンカーで空振り三振に仕留めた。1人の走者も出さずに役目を終え「ゲームで初めて投げられて興奮した。札幌ドームはトロントを思い出させて、いい雰囲気だったね」と満足げに振り返った。

 初めての日本球界でのマウンドも、スタイルは変えなかった。「日本でも米国でもやることは変わらない。自分の球を投げるだけ」。打者に対して攻撃的に投げることを心掛け、結果を出した。リリーフ陣の軸にと期待される男の投球を見守った梨田監督は「普段はおとなしそうだけど、マウンドに上がると変わる。安心できるボールを投げていた。球自体は100点満点」と合格点を与えた。

 昨年11月2日に右ひじのクリーニング手術を行った影響に加え、1月25日に長女が誕生。キャンプ合流は2月14日と遅れた。しかし時差の影響がある中も、即日ブルペン入りと意欲をみせた。同月22日に打撃投手を務めた際には、出番を待ちきれずに投球練習を開始しようとし、周囲に阻止されブルペンで待機したことも。前向きな姿勢で評価を高めている。

 「今日は真っすぐの感触をつかもうと思っていた」と言うほど、まだ手探りの中での好投。島崎投手コーチは「菊地が出遅れているのでそこで使えたらいい」とセットアッパーでの起用までも示唆した。堂々デビューにもウルフはおごることなく「今後の投球について、どんどんキャッチャーやコーチと話していきたいよ」と言った。推定年俸3600万円と、ハム1の格安助っ人だが、日本で成功するための志は負けちゃいない。【石井克】

 [2010年3月5日10時33分

 紙面から]ソーシャルブックマーク