<中日4-9西武>◇10日◇愛知・小牧

 おかわり君の代役は任せろ!

 西武の新4番に座る栗山巧外野手(26)が中日戦で2点二塁打を含む3安打をマークし、故障者続出のチームをオープン戦初の連勝へ導いた。不動の4番だった中村剛也内野手(26)が右目眼窩(がんか)底骨折で離脱。代役4番に抜てきされてから勝負強さを発揮し、8打数5安打で打率6割2分5厘だ。中村と同期入団の栗山が、主砲の穴を埋めている。

 西武の新4番が、また結果を出した。2点を追う3回1死一、二塁。独特の重心をしっかり残す打法で振り抜くと、低く鋭い打球が中堅手の上を越えた。中日山井から、同点の2点適時二塁打。目の覚めるような弾丸ライナーに、ベンチが一気に沸いた。続く5番ブラウンの勝ち越し2ランを呼び、5回には石井義の3ランでダメ押し。2年連続本塁打王の中村が戦線離脱し、活気を失いかけていた打線が「4番栗山」で息を吹き返した。

 中村の代役として、プロ初の4番に抜てきされた7日阪神戦で2安打1打点デビュー。この日も3安打2打点の活躍だった。いずれも試合を左右する場面で勝負強さを見せ、「たまたまです。ただ思い切っていける場面が多いので、いい方に出ていると思います」。ここ2年は不動の2番打者。1番片岡の盗塁や進塁打などを意識しながら、08年にはリーグ最多安打をマークした。制約を受けない4番では勝負に集中し、持ち前の打力がいかんなく発揮されている。

 プロ野球の4番打者では、小兵に見える177センチ85キロの体は筋肉質だ。握力は80キロを超える。中村とは高卒同期入団の9年目。新人時代には水を含ませて重くしたボールを2人で手がしびれるほど打ち込んで、1軍で活躍する日を夢見ていた。苦労をともにした中村の実力を誰よりも認め「帰ってくるまで、みんなで穴を埋めたい」という言葉は熱い。渡辺監督は「右も左も苦にせず打てる。攻撃のバリエーションが増えればね」とニンマリだ。中村不在で、新たな可能性を見せた栗山。まさに“けがの功名”といえる。【柴田猛夫】

 [2010年3月11日9時11分

 紙面から]ソーシャルブックマーク