<ヤクルト0-11西武>◇11日◇神宮

 初対戦のどんな相手でも、高い技術で対応してしまう。西武中島裕之内野手(27)が、ヤクルトの新外国人デラクルスから今季1号を放った。正体不明の相手右腕は、迫力満点の巨体から150キロ台を連発。「怖かった」というほどの荒れ球にも、1打席目から向かっていった。1回1死三塁、粘った8球目の145キロ直球を右翼席へ先制2ラン。ボールの勢いを利用し、バットに乗せて逆方向へ運ぶ、中島らしさが凝縮された1発だった。

 初もの食いの本領を発揮した。昨年のこの時期は、WBCでフル回転。初対戦の外国人投手に戸惑う選手が多いなか、日本代表トップの打率3割6分4厘をマークし、世界一連覇に貢献した。基本的に相手データはあっても参考程度にとどめ、打席で勝負する天才肌のタイプ。この日も、ストライクゾーンのボールにはすべて反応。4度のファウルで感覚をつかみ「いろんな球種を見れたので、タイミングが合った」と、してやったりの表情だった。

 実力だけでなく、甘いマスクでチーム一の人気者。球団も対応し、少年時代から現在までを秘蔵映像で振り返ったDVD「中島裕之

 進化する若獅子

 背番号3」を4月16日に発売することを決定。清原、松坂でも実現しなかった選手初の個人DVDを球団が発表した直後に、自らPR弾を放つあたりも勝負強い。「ホームランは気持ちいいので出てよかったけど、オープン戦ではもういらないです」。新選手会長としてV奪回の強い決意を胸に臨む今シーズンは、ますます期待できそうだ。【柴田猛夫】

 [2010年3月12日8時10分

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