<ソフトバンク5-9広島>◇13日◇尾道

 エースよ、大丈夫か!?

 ソフトバンクの開幕投手に内定している杉内俊哉投手(29)が自己ワーストの9失点で6回途中KOされた。1週間後に迫った20日の開幕日本ハム戦(札幌ドーム)を前に、オープン戦5年ぶりの失点を喫しただけでなく、制球が定まらず11安打を浴びる散々な内容だった。苦手の寒さなど悪条件が重なったこともあり、本人は「全然大丈夫」と余裕の表情。立て直しへ自信をのぞかせた。

 開き直るしかなかった。杉内は苦笑いした顔の前に左手を出し「すみません」のポーズをつくってマウンドを降りた。5回1/3を11安打9失点。味方の3失策が絡んで自責点は4にとどまったが、開幕戦を1週間後に控えて、まさかのKO劇だった。

 今まで経験したことがないほどのメッタ打ちだった。9失点は公式戦を通じて自己ワースト。オープン戦での失点は実に5年ぶりだ。2月27日の広島戦では4回53球、6日の巨人戦は5回57球の省エネ投球を見せてきた左腕が、この日は制球に苦しんだ。3回までに47球を要し、オープン戦過去2試合でゼロだった四球も2つ与えた。勝負球がワンバウンドする場面が目立ち、高めに浮いた球を痛打された。秋山監督も「らしくなかったね」と首をかしげた。

 不安ばかりが募る乱調だったが、背番号47には怒りも悲壮感もなかった。帰り際に「あ~、やられた」と口を開くと「全然大丈夫。(開幕までには)何とかなるでしょ。課題?

 特にないです」と淡々と振り返った。

 悪条件は重なっていた。高山コーチは「いろいろ原因はある」。試合前の気温は12度前後。指先に血行障害に悩まされてきた杉内にとっては過酷な環境だった。遠征前から「尾道は寒いからね」と警戒して、ウオーミングアップ時に手袋をはめるなど対策は練ったが、微妙な感覚の狂いが制球の乱れとして出た。直前に雨がぱらついた影響で、試合中に足元を気にする場面もあった。開幕戦の舞台となる札幌も外気こそ寒いが、ドーム球場なら気温も足場も気にする必要はない。

 周囲も心配を一掃した。秋山監督は「大丈夫でしょ」と言い残して帰りのバスに乗り込んだ。捕手の田上や高山投手コーチ、主将の小久保も「逆に(本番前に)打たれてよかった」と口をそろえた。ダルビッシュとの投げ合いを前に不安を露呈したのは事実だが、昨季15勝のエースに対する信頼は不変だ。余裕の表情と言葉が強がりではないと証明するには、1週間後のマウンドで借りを返すしかない。

 [2010年3月14日12時23分

 紙面から]ソーシャルブックマーク