<巨人4-1ヤクルト>◇26日◇東京ドーム

 原巨人が誇る「恐怖の下位打線」がいきなり機能した。1点を先制された直後の4回。8番高橋由伸外野手(34)が右前同点適時打を放ち、続く5回には7番阿部慎之助捕手(31)の中前打で勝ち越した。単打オンリーの11安打も、ジワリジワリと重圧をかけて石川を攻略した。3年ぶりの開幕勝利を手にし、リーグ4連覇、日本一連覇へ好発進した。

 巨人のヒーロー3人がお立ち台に上がった。阿部、内海、高橋。順番にマイクを向けられ最後は高橋。4万人超の歓声に言葉はかき消された。辛うじて聞こえてきたのは「本当にうれしい。最高ですね」。ヨシノブが帰ってきた。

 右翼席から悲鳴にも似た歓声が起きた。1点先取された直後の4回。1死一塁で7番阿部が中前打でつなぐ。一、三塁となり「8番一塁、高橋由伸」のアナウンス。「おかえり」とボードを振るファンがいた。「試合前はガチガチで、こんなに緊張するもんだと思いました」。これまで1261試合に出場した13年目のベテランも、勝手が違った。2回の第1打席は、1死満塁の絶好機に一ゴロ凡退。挽回(ばんかい)機は、すぐにきた。

 ヤクルト石川の内角攻めに打ち勝った。初球、内角136キロをファウル。2球目、内角138キロを振り抜き、右前に同点打を放った。スタンドはオレンジ色のタオルが舞い、ベンチでは原監督が手をたたいた。高橋はスッと一塁に立った。

 一塁守備も無難にこなし、08年9月22日の広島戦以来のフル出場でチームの3年ぶり開幕戦勝利に貢献。試合後、ベンチでそっと口に手をやり、透明の物体を取り出した。歯の形状に合わせた特注マウスピース。1月末のキャンプイン直前だった。食事中、左の奥歯が抜けた。「根もとが弱ってたんだろうね」。プレー中は、相当の負荷が歯にかかる。急いで歯科医院に向かうも、治療には時間がかかると判明。放っておくと周囲の歯が負担を受け、弱ってしまう。やむなくマウスピースをつくった。昨年9月に腰を手術。谷、李承■、長野らも控えるハイレベルの争いに勝ち、一塁手として開幕スタメンをつかんだ。右翼でのレギュラーが当たり前だった男が文字どおり歯を食いしばり、ここまで来た。

 やはり恐怖の下位打線だ。高橋の同点打で流れをつかみ、5回に阿部の2点打で勝ち越し。阿部は「(4回は)うしろにプリンスがいるから、つなごうと思いました」とニヤリ。計11安打はすべて単打。下位2人が相手投手にかける重圧は大きい。原監督は「(高橋は)非常に良いスタートを切った。すべて単打?

 やっぱり中堅中心。それが原点ですよ」と手応えをつかんだ様子だ。幸先のいいスタートを切った高橋は「結果は出たけど終わりじゃない。家族、トレーナー、ケアしてくれた人。1年間出来たとき、初めて支えてくれた人たちの思いに応えられるのかなと思います」と言った。心なし、目元が光って見えた。【古川真弥】※■は火ヘンに華

 [2010年3月27日9時27分

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