<中日1-3広島>◇26日◇ナゴヤドーム

 粘りの投球も報われなかった。中日吉見一起投手(25)は6回3失点と試合は作ったが、プロ5年目で初の開幕のマウンドを白星で飾ることはできなかった。「(開幕という)特別な意識はなかったと思う。先頭打者を出したのがすべてですね。もっとすんなり初回に入れたら…」と悔やんだ。

 本人は「それはまた別の話。関係ない」と言い訳しなかったが、試合前からアクシデントに見舞われていた。実は右足のスパイクの靴紐が切れていた。関係者によると、紐を通す穴を数カ所余らせた短い状態で結び、試合に臨んでいたが、当然、軸足の緩みは気になったはずだ。しかもその初回、アンラッキーが重なった。先頭の東出に外角球をバットの先で左前打に運ばれると、天谷にはバットを折られながらの中前打。そして栗原にはボール球を右前に運ばれ、あっさり2点を奪われた。

 4回にも、安打とセサルの失策で背負った走者を2死から前田健に左前適時打で返され、計3失点。ともに先頭打者にヒットを許したことが結果的に響いた。許した安打は9本。不運な当たりも多かったが「ヒットはヒット。言い訳にはできない」と話した。首脳陣から開幕を告げられたのは2週間ほど前。「結構前から言われてました。僕もそのつもりでやってきた」。この日は自宅で尾頭付きのタイと赤飯を食べて験担ぎもしたが、勝利の女神は微笑まなかった。【福岡吉央】

 [2010年3月27日10時54分

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