<巨人2-3阪神>◇14日◇東京ドーム

 こんな勝ち方もできるんや!

 前夜一発攻勢で巨人に逆転勝ちした阪神が、この日はつないで、つないで勝ちを拾った。1-1の8回、2単打と死球で1死満塁の絶好機をつくり、打席にはセの本塁打王クレイグ・ブラゼル内野手(29)が、巨人山口の変化球を右腕1本で拾う技ありの勝ち越し2点右前打で、試合を決めた。15日に真弓体制初の5連勝を決め、中日が敗れれば、単独首位に躍り出る。

 ほおを紅潮させて、バットを振った。同点の8回1死満塁、ブラゼルが山口のボールに食らいつく。カウント2-2から体勢を崩しながら2球をファウルでしのぐ。「とにかく前に飛ばそうと思っていた。三振しないことだけ考えた」。

 粘って迎えた7球目。外角低めスライダーを右手1本で拾った。ふわりと浮いた打球は二塁手脇谷の頭を越える。勝ち越しの2点適時打。代走の平野を送られてベンチに戻ると、出迎えの仲間とハイタッチした。

 前夜は両軍で7本塁打が乱れ飛んだ。6点差を逆転する会心の勝利だったが、一方で本塁打以外で点の取れない側面も際立っていた。それが、どうだ。8回のチャンスは、単打2本と死球でつないだもの。ブラゼルは1打席目から3連続三振で、しかもすべて低めスライダーを空振りしていた。ラストチャンスは長打を狙わず、執念で右前に運んだ「おもしろいものさ。いい当たりがアウトになることもあれば、腕1本ですくってヒットになることもある」と笑った。和田打撃コーチは「同じ球で失敗するわけにはいかないから、食らいついたね」とほめた。

 2年目の阪神ですっかりとけ込んでいる。この日の試合前には「リスペクトしている」という巨人原監督にあいさつ。さらに13日に2ランを打った巨人久保と握手をかわし「昨日は打てたけど、お前が(前回対戦の)甲子園で投げていたチェンジアップを最高のボールだ。いいピッチャーだ」と他チームの外国人選手だけでなく、日本人とも積極的に交流している。

 4月5日にはシーズン途中加入したスタンリッジと自宅近くでばったり顔を合わせた。自身も昨季は途中入団だっただけにチームの魅力を必死でまくし立てたという。「いいことばっかり話していたよ」と新顔右腕をあきれさせるほどだ。

 ブラゼルの千金打で4連勝。巨人を相手につないでつないで、しぶとく勝ち越し、東京ドームでのカード勝ち越しも決めた。1勝2敗だった甲子園の借りを返したが、真弓監督は「まだまだ、明日も残っている」と同一カード3連勝を見据える。15日も勝てば、真弓監督就任以来初めての5連勝。そして中日の結果次第で、猛虎が一気に首位に浮上する。

 [2010年4月15日11時52分

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