<西武5-8日本ハム>◇17日◇西武ドーム

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が記録的な快投で、瀕死(ひんし)のチームを救った。2回にプロ入り初の1イニング5失点も3回以降は立ち直り、今季最多148球の力投で7回を5失点で3勝目。5回に稲葉の逆転決勝満塁弾など打線の援護を受け、開幕戦から5試合連続の2ケタとなる10奪三振をマーク。野茂英雄氏が持つプロ野球記録の6試合連続に王手をかけ、連敗を4で止めたチーム浮上の足がかりをつくった。

 脱いで、脱いで、ダルビッシュが仕事でも一肌脱いだ。1点リードの2回に一挙5点を献上したが、最高の逆転勝利へのシナリオを描いた。「(2回は)自分でも『何やってんねん!』って感じ。ベストゲームじゃないッス」と、幸せな苦笑いで締めた。

 この日の最高気温は12度。長袖アンダーシャツを身にまとい、1回をスタートした。通常は、ほぼ半袖しか着用しないのがルーティン。「ピタッとはりつくと脳が反応する感じ…」。それが直接的な要因ではないが、立ち上がりからフォームのバランスを崩し、制球が定まらない。袖をまくり七分丈仕様にスイッチした2回は、押し出し1つを含む3四球に4安打。プロ入り初の1イニング5失点と、崩れた。

 3回から半袖へ着替え、エンジンがかかる。最速は146キロながら、キレ抜群の直球主体に、130キロ前後の高速カーブを決め球の1つに変えた。5回の稲葉が逆転満塁弾を放った瞬間は、ベンチ前でキャッチボール中。体を「くの字」にしてガッツポーズし、両腕を広げ、珍しくハグで出迎えた。「ここ3、4年くらいではないくらい、どうしようもなかった」という感覚のズレ。責任感と先輩からもらったアドレナリンが、立ち直るきっかけになった。

 終わってみれば、2回をのぞく毎回の10三振。7回2死三塁では、中村から高速カーブで誘い、この日3個目の三振で仕留め、お役御免となった。開幕戦から5戦連続の2ケタ奪三振。「最後は9個と分かっていたので、中村さんで取れればいいと思っていたけれど、取れると思わなかった」。そう謙遜(けんそん)はしたが、狙って記録を更新した。ドタバタでも、特長の修正能力の高さを見せ、すごみ十分だった。

 どん底のチームを救う1勝に梨田監督は「立ち直ってチームに力をくれた」と、投の主役を持ち上げた。登板時には接戦が多い中で、打線に救われながら、役目を遂げた。ダルビッシュは「僕の時はああいう(逆転勝利が)少ないんで。いつもクールって言われるんですけれど、そんなことないですから」と充実感に浸った。日本ハムが脱皮する期待を抱かせるような、再スタートラインが到来した。【高山通史】

 [2010年4月18日9時30分

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