<阪神5-8中日>◇25日◇甲子園

 阪神星野仙一オーナー付シニア・ディレクター(SD=63)が、将来のプロ野球監督復帰に意欲を見せた。大阪・泉佐野市内でのトークショーに参加。「私ももうひと勝負しようと。闘志だけはありますから」と語り、もう1度ユニホームを着て優勝したい思いを明かした。日本代表監督を務めた北京五輪後、自身の今後について話すのは初めて。現在は阪神SDの立場だが、星野氏の手腕なら他球団で現場復帰する可能性もあり得る。早ければ来年、闘将がグラウンドに帰ってくるかもしれない。

 女性司会者から「将来の夢」を問われた時だった。星野氏はきっぱり言った。「私も人生の最後で、もうひと勝負しようと。闘志だけはありますから。気持ちだけは若い者に負けませんよ」。司会者に「もう1度監督をということですね?」と念を押されると笑顔で返し、500人の聴衆からこの日一番の拍手がわき起こった。大阪・泉佐野の住宅展示場で青空の下、行われたトークショー。星野氏は将来の監督復帰というビッグな夢を明かした。

 日本代表監督を務めた08年の北京五輪後、自身の今後について語るのは初めてだった。もう1度、ユニホームを着て勝負がしたい。もう1度、チームを指揮して優勝を味わいたい。沈黙を守って来た闘将に、再びファイティングスピリットがよみがえったのだろう。「金しかいらない」と宣言して臨んだ北京五輪はメダルすら逃した。男として負けたままでは終われない。まだ見ぬ日本一の目標も残っており、野球人生の集大成として“ラスト登板”への意欲が高まったようだ。

 トークは監督のやりがいにも及んだ。「強いチームなら昼寝してても勝てる。でも私は弱いチームばかり受け持たされる。でも弱いチームを強くするのが、夢でありロマンでもある。子どもが成長していく楽しみと同じ。デキの悪い息子ほどかわいいって言うじゃないですか。もっとも、始めは『優勝させに来たぞ!』って言うと、みんなこのおっさんアホかって顔してましたけど」。01年オフに4年連続最下位だった阪神監督を引き受け、03年に18年ぶりリーグ制覇に導いたことを振り返って熱弁。低迷するチームに勝つ喜びを教えることが、自身の天分ではないかと自己分析した。

 もちろん発言は阪神次期監督を希望するものではない。自分を望んでくれるなら、12球団OKの思いがあるとみられる。ただし、現在は阪神フロントのトップ的立場にあるSDの身分。星野氏も強い阪神愛を持っているとはいえ、球団もチームの顔がライバル軍に流出することは、何としても阻止したいところだろう。

 だが05年には低迷していた巨人がOB以外では初めて、監督招へいに動くなど、中日と阪神でリーグ優勝3度を誇る指揮官としての評価は高い。今回の発言を受け、今オフにも、星野氏の再建手腕を望む球団が現れ、争奪戦に発展するかもしれない。闘将復帰へ、今後の動向から目が離せなくなってきた。【松井清員】

 [2010年4月26日11時34分

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