<阪神1-3西武>◇26日◇甲子園

 本拠地でなくても、調子が悪くても頑張る理由があった。西武石井一久投手(36)が6回無失点で6勝目を挙げた。26日は彩子夫人の39回目の誕生日。今季、西武ドーム以外で初白星に「ビジターのユニホームだと勝てる気がしなかった」ととぼけて笑ったが、結婚後、記念日に登板したのは初めて。感謝の思いをこめた特別な1勝をプレゼントした。

 今は自他ともに認める「所沢っ子」だが、「虎キラー」の称号も健在だった。夫人と出会ったヤクルト時代から白星を積み重ねて29勝目(13敗)。「阪神が得意とかはないけど、甲子園のマウンドはホームまで遠く感じるので、力みが抜けていい結果になっているのかも」と分析。甲子園ではヒール役がよく似合う。

 制球に苦労した分、慎重になった。「調子は今年の中で最悪だった。それを自覚して低めに集められたので、大けがしなかった」と振り返る。5安打されて毎回走者を背負ったが、広い甲子園で致命傷を防ぐ「低め」の意識を徹底。ムラッ気があり、いつもなら集中が切れてもおかしくない場面の連続だったが、我慢できた。ピンチでは、誰よりも自分を理解し、支えてくれる愛妻の顔が浮かんだに違いない。【柴田猛夫】

 [2010年5月27日8時32分

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