つり師はマリンの風を読む。阪神城島健司捕手(34)が11日、千葉マリンスタジアムで全体練習に参加した。千葉マリン特有の強風も、釣り名人の手にかかればお手の物だ。5月24日のロッテ戦ではサヨナラ犠飛を放つなど、甲子園ラウンドでは2戦合計で8打数4安打2打点の活躍を見せた。メジャー挑戦を前に、自打球を当て左足頸骨(けいこつ)骨折でシーズンを終えてしまった地で、ジョーが交流戦勝ち越しへ導く。

 マリンスタジアムの三塁ベンチに座る正妻が、つかの間のお天気キャスターに変身した。

 城島

 明後日までは千葉も大丈夫です。それからは来週木曜までは雨マークが付いています。ただ傘が開いていなかったので土砂降りにはならないと思います。ホントだよ!

 ホントだよ!

 原稿を読むような口調で、千葉の空を読み上げた。自らを釣り人と名乗る、虎の正妻。「僕はいつも見ているんですよ。釣り師としては、常に日本の天気はきっちりですね。為替と天気予報はいつも見るんですよ」。情報収集力には自信がある。当然、磯だけではなく、グラウンドの上でも力を発揮する。

 城島

 球場の下で吹いてる風はピッチャー、キャッチャーは把握しないといけない。フォローで吹いていると、変化球の曲がりも変わってきますし。変化球がかなり曲がるんでね、フォークが落ちたりするし。その風を早くつかめたらピッチャーは大きいよね。

 12日は、久保の先発が予想される。千葉マリンを知り尽くす男とのバッテリーは鬼に金棒だ。

 「苦い思い出思い出させないでよ」。くしくもメジャー挑戦前、最後の日本での試合が千葉マリンだった。05年9月22日ロッテ戦。4連戦の最終日の4打席目だった。

 「初戦の夜に、左足を自打球で骨折する夢を見たんですよ。次の日球場でみんなに言ったら『そういう夢見たら、たいがい折れんよ』って言われたら、2日後に折れましたからね。デジャブだったんじゃないですか?」。左すねに自打球を当て左足脛骨(けいこつ)を骨折。シーズン終盤まで首位打者争いを繰り広げていた最中のアクシデントだった。結局、城島の出場は116試合目でストップ。打率はリーグ7位の3割9厘(首位は西武和田の3割2分2厘)だった。不完全燃焼でシーズンを終え、やりきれない思いを胸にまま渡米していた。

 思い残した悔しさを今こそぶつける。交流戦勝ち越しをかけて臨むロッテ戦。甲子園ラウンドではマリンガン打線を封じ込んだ。本拠地にはめっぽう強い相手だが「チャンスがあるんだったら、最後まであきらめない」。風を読み、潮の流れならぬ勝負の流れも読んで、連勝フィニッシュする。

 [2010年6月12日10時52分

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